会社設立して労働者派遣事業を行う場合には、労働者派遣事業の許可を受けなければなりません。ただし雇用している者を派遣する特定派遣の場合は届出制となります。

一般労働者派遣事業
特定労働者派遣事業以外の労働者派遣事業をいい、例えば登録型や臨時・日雇の労働者を派遣する事業がこれに該当します。
一般労働者派遣事業を行うには、事業主の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局に許可の申請をしなければなりません。

特定労働者派遣事業
常用雇用労働者だけを労働者派遣の対象として行う労働者派遣事業をいいます。
特定労働者派遣事業を行うには、事業主の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局に届出をすればOKです。

ただし、以下の業務については労働者派遣を行ってはなりません。
 1.港湾運送業務
2.建設業務
3.警備業務
4.病院等における医療関係の業務

また、人材派遣の事業を行うにさいしては、派遣元責任者を設置しなければなりません。この派遣元責任者になるには、まず派遣元責任者講習を受講する必要があります。そのため、会社設立の手続きと並行してこの講習の予約もとっておく必要があります。この講習が終わり、派遣元責任者として登録されないと、せっかく会社設立しても事業が開始できないといったことにもなります。

また、一般労働者派遣事業を始めるにあたっては、自己資金(会社設立の場合は最初の出資額と考えてOKです。)が2,000万円以上必要です。会社設立後、すぐに一般労働者派遣事業を行う場合は、設立段階で自己資金を2,000万円用意しましょう。この金額には創業融資などの借入金の額は含まれませんのでご注意ください。

一般労働者派遣事業の許可を受けるための書類は以下の通りです。(会社設立して行う場合を想定していますが、個人事業主の場合も役所で簡単に揃えられます。)

・定款
・登記事項証明書
・役員の住民票の写し及び履歴書
・貸借対照表及び損益計算書
・法人税の納税申告書の写し
・法人税の納税証明書
・事業所の使用権を証する書類(賃貸借契約書等)
・派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書
・個人情報適正管理規程

許可の手数料として12万円(2事業所以上の場合は1事業所あたり5.5万円加算)、登録免許税として許可1件あたり9万円が必要となります。

実態は労働者派遣でも、請負として契約する偽装請負には注意しましょう。たとえば、ある会社(A社)がダイレクトメールの封入をする会社(B社)に1通5円として、B社に社員を常駐させた場合で、契約上請負契約といいながら実際はB社の指揮のもと働いている場合には偽装請負になります。実態は派遣なのに、請負であるかのように偽装しているのです。偽装請負は、労働者に対する責任があいまいとなるため、禁止されています。