未成年者の相続放棄
未成年者でも相続放棄は可能です。しかし、婚姻している(成年擬制)などの事情がない限り未成年者が単独で相続放棄することはできません。
そこで、未成年者が相続放棄するには、法定代理人である親が代わりに手続きを行うことになります。
しかし、もし、親が自由に子の相続放棄を行うことができるとしたら、場合によっては遺産分割協議を経ることなく親が遺産を単独で相続できることも可能になります。
そこで、未成年者が相続放棄するには、親がいっしょに相続放棄するといったケースを除いて、相続放棄の前に特別代理人の選任手続きが必要となります。
未成年者の子に相続放棄させる理由は相続の事情に応じてさまざまです。例えば以下のような理由があります。
- 被相続人がお世話になった人に借金をしていて、子にそうした負担は背負わせたくない
子を想っての動機であっても、未成年者の相続放棄で特別代理人の選任が必要かどうかということは、個別事情は考慮されず、客観的な相続関係だけで判断されます。(個別の事情を一つ一つ考慮していると家庭裁判所の実務も大変です。)
ただし、親がいっしょに相続放棄する、またはすでに相続放棄をした親が未成年者である子の相続放棄を申し立てるといった場合であれば利益相反には該当せず、親が相続放棄の申し立てを法定代理人として行うことができます。このようなケースでなければ、まずは特別代理人の選任手続きが必要になります。
離婚した配偶者の遺産で、子にはも心情的に相続させたくないといったケースでは、親は離婚した配偶者の相続人になりませんので、未成年者に代わって相続放棄の申し立てが可能です。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている