Last Updated on 2025年1月5日 by 渋田貴正

合同会社の資本金証明書は通帳のコピーなどは不要

会社設立登記や、増資の登記では、「払い込みを証する書面」というものが必要です。この書面は、設立する会社が事実上の資本金を保有していることを示し、会社の健全性を担保するための重要な手続きです。

具体的には、以下のような情報が記載されている書面(オンラインバンクの画面や通帳コピーなど)が必要となります。

1)銀行名

2)支店名

3)口座番号

4)口座名義人(発起人や設立時の代表取締役、増資を受けた会社名義)

5)出資額以上の払い込みがあったことが分かる入金履歴(出資額ピッタリでなくても大丈夫です。)

といった情報が分かるものです。いまではオンラインバンクの利用も増えてきましたので、オンラインバンクの取引履歴画面や、オンラインバンクがなければ通帳のコピーで上記を証明します。

しかし、合同会社ではこのようなややこしい書面は登記手続きの上では不要になります。合同会社の払い込み証明は単純に領収書という形でも問題ありません。

領収書

有限責任社員 渋田 貴正 様

金100,000 円

但し、ABC合同会社の出資金として、正に領収致しました。

令和3年3月3日

東京都千代田区○○
ABC合同会社
代表社員 山田 太郎 印(個人認印でも大丈夫です。)

もちろん実際に現金をしっかりとやり取りしておく必要はありますし、合同会社の名義の口座ができれば、出資金は会社の口座に入金する必要があります。合同会社では、出資未履行の間は社員になれない、つまり出資の履行が完了して初めて社員として認められます。上記のような領収書はあくまで登記のための書類であり、実際には口座振り込み、現金手渡し、どのような形にしても出資の履行は完了させる必要があります。

(社員の加入)
会社法 第604条 持分会社は、新たに社員を加入させることができる。
2 持分会社の社員の加入は、当該社員に係る定款の変更をした時に、その効力を生ずる。
3 前項の規定にかかわらず、合同会社が新たに社員を加入させる場合において、新たに社員となろうとする者が同項の定款の変更をした時にその出資に係る払込み又は給付の全部又は一部を履行していないときは、その者は、当該払込み又は給付を完了した時に、合同会社の社員となる

しかし、株式会社のように、口座の入金履歴でその証明をするということまでは求められていないということです。とはいえ、株式会社でいうところの見せ金のようにはならないように、しっかりと見合った現金は用意しておきましょう。

資本金の払い込みに関する会社法の規定

ややこしいので興味がなければ読み飛ばして問題ありませんが、合同会社では銀行への払い込みが必須ではないのは、会社法で以下のように定められているからです。いずれも「株式」を引き受ける者は金融機関への払い込みを行わなければならない旨が定められています。合同会社ではこの適用がないので、出資金は現金でのやり取りも問題ないということです。

会社法 第34条

発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。
2 前項の規定による払込みは、発起人が定めた銀行等(銀行(銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行をいう。第七百三条第一号において同じ。)、信託会社(信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第二条第二項に規定する信託会社をいう。以下同じ。)その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。
会社法 第208条
募集株式の引受人(現物出資財産を給付する者を除く。)は、第百九十九条第一項第四号の期日又は同号の期間内に、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの募集株式の払込金額の全額を払い込まなければならない。

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