Last Updated on 2025年1月17日 by 渋田貴正

合同会社の社員になる方法

合同会社では、社員になるには持分を取得することが必要です。(というより持分を取得した人を社員と呼ぶといった方が正確かもしれません。)

合同会社の持分を取得するには、大きく分けて2つのパターンがあります。

パターン1 新たに出資をして持分を取得する

パターン2 既存の社員の持分を譲渡してもらう

の2つです。

新たに出資をして持分を取得するパターン

合同会社の資本に新たに出資を行い、持分を取得する方法です。この場合、新たな出資が発生するため、以下の手続きが必要になります。

定款変更の必要性

合同会社の定款には、社員の氏名および住所が必ず記載される必要があります(絶対的記載事項)。新たな社員が加入する場合は、定款を変更しなければなりません。原則として、定款変更には社員全員の同意が必要です。この場合、新たに加わる社員は定款変更の同意者には含まれません。新たな社員の加入は定款変更が効力を発生して初めて有効になるからです。

資本金への計上と登記

新たに出資を受けた金額を資本金に計上する場合は、資本金変更の登記が必要です。ただし、合同会社では出資額全額を資本金に計上する義務はありません。出資額の一部または全部を資本剰余金として計上する選択肢もあります。この場合、資本金変更の登記は不要ですが、税務上の計上方法については慎重な検討が必要です。

業務執行社員の登記

新たに合同会社に出資をして加入する社員が業務執行社員になる場合、その旨を登記する必要があります。

既存の社員から持分を譲渡してもらうパターン

既存社員から持分を譲り受けて社員になる方法です。この手続きは株式会社における株式譲渡に類似しています。

定款変更の必要性

新たな社員の氏名と住所を定款に記載するため、定款の変更が必要です。これも原則として社員全員の同意が求められます。この場合も、持分を譲り受けて新たに加わる社員は定款変更の同意者には含まれません。新たな社員の加入は定款変更が効力を発生して初めて有効になるからです。

資本金への影響

既存社員の持分譲渡では、会社に新たな出資が行われないため、資本金に変動はありません。このため、資本金変更の登記は不要です。

業務執行社員の登記

新たに合同会社の持分を譲り受けて加入する社員が業務執行社員として登記される場合は、登記が必要です。

まとめると以下のようになります。

定款変更 社員関係の登記 資本金変更の登記
新たに出資をして持分を取得する 必要 業務執行社員になる場合に必要 受け入れた出資を資本金に入れるなら必要
既存の社員の持分を譲渡してもらう 必要 業務執行社員になる場合に必要 必要なし

ちなみに、定款変更をするには原則として、社員全員の同意が必要です。例えば、代表社員の家族を社員として加入させる場合には、パターン2の既存社員の持分譲渡の形で行われることが多いです。その時の同意書は以下のようになります。

同 意 書

1. 当会社の業務執行社員山田 太郎は、その持分のうち金〇万円を山田 花子に譲渡し、譲り受けた山田 花子が、新たに業務執行社員として加入する。

新加入社員の氏名及び住所並びに出資の目的及び価額は、次のとおりとし、定款第〇条に追加する。なお、これに伴い、定款第〇条の山田 太郎の出資の価額を金〇万円に変更する。

社員の氏名 山田 花子
社員の住所 東京都~~
出資の価額 金〇万円
責任 有限責任社員

2. 定款第7条を次のように改める。
第7条 業務執行社員は次の通りとし、当会社の業務を執行するものとする。
業務執行社員 山田 太郎
業務執行社員 山田 花子

以上に同意する。

令和xx年xx月xx日
東京都~~
合同会社ABC
業務執行社員 山田 太郎

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