Last Updated on 2024年12月29日 by 渋田貴正

無償増資の種類

資本金や資本準備金を増加させることを増資といいます。増資には、純粋にお金を会社に入れることで資本金等を増やす有償増資と、貸借対照表上の株主資本の数字を組み替えることで資本金等を増加させる無償増資があります。(もう一つの増資の方法として、新株予約権の行使もあります。)

更に無償増資には、準備金を資本金に組み入れる方法と、剰余金を資本金に組み入れる方法があります。

無償増資 準備金の資本組入れ 資本準備金の資本組入れ 株式のみ
利益準備金の資本組入れ 株式のみ
剰余金の資本組入れ その他資本剰余金の資本組入れ 株式、合同
その他利益剰余金の資本組入れ 株式のみ

準備金の資本組入れ

準備金の資本組入れには、資本準備金の資本組入れと利益準備金の資本組入れがあります。

いずれの場合も株主総会の普通決議により行うことができます。準備金を、より拘束力の強い資本金に組み入れることは株主にとってマイナスにはならないためです。

さらに新株発行と同時に資本準備金の資本組入れを行う場合で、資本準備金の額が減らない場合は、株主総会の決議を経ることなく、取締役の決定(取締役会があれば、取締役会の決議)で準備金の資本組入れを決議することもできます。

債権者保護手続きについては、減少する準備金の全額を資本金に組み入れる場合には不要となります。ほとんどのケースでは、全額資本金への組み入れが行われますので、債権者保護手続きは、準備金の資本組み入れでは不要ととらえてよいでしょう。

剰余金の資本組入れ

剰余金の資本組入れには、その他資本剰余金の資本組入れと、その他利益剰余金の資本組入れがあります。剰余金の資本組入れについては、株主総会の普通決議(合同会社が資本剰余金の資本組入れを行う場合は、社員の過半数の同意)により行います。剰余金の資本組入れを行うと、分配可能額が減るので株主にとって不利なのではと思えますが、減少させることが難しい資本金が増えるということは、「株主資本」がより強固になるということで、普通決議でよいということになります。

剰余金の資本組入れについては、債権者保護手続きは不要です。

準備金の資本組入れの場合も、剰余金の資本組入れの場合も資本金の額が変動しますので、増資の登記が必要となります。ただし、新たに株式を発行するわけではないので、新株発行に伴う増資の登記のように、発行済株式総数の変更の登記は必要ありません。