Last Updated on 2025年2月25日 by 渋田貴正

相続放棄申述受理通知書」と「相続放棄申述受理証明書」の違い

相続放棄の手続きが完了した後、その事実を証明する書類として「相続放棄申述受理通知書」と「相続放棄申述受理証明書」があります。いずれも家庭裁判所から発行される書類ですが、それぞれの用途や取得方法が異なります。れぞれの書類の違いや取得方法、実務での活用方法を説明します。

相続放棄申述受理通知書 相続放棄申述受理証明書
相続放棄が完了したことを、相続人本人に通知する書類 相続放棄が完了していることを、対外的に証明する書類
取得できる人 相続放棄をした相続人本人のみ 相続放棄をした相続人、次順位の相続人、債権者などの利害関係者
取得方法 相続放棄完了後に家庭裁判所から自動的に郵送 家庭裁判所への請求が必要
費用 かからない 150円の印紙が必要

どちらの書類にしても相続放棄が完了したあとに発行される書類で、その書類を見れば相続放棄がされたことは分かります。しかし、相続放棄申述受理通知書は、相続放棄をした相続人本人のみが取得できるものです。そのため、相続放棄した相続人以外で相続放棄があったことを対外的に示すには、相続放棄申述受理証明書を取得するか、相続放棄した相続人から相続放棄申述受理通知書を受け取るかということになります。

ただ、相続放棄をした相続人から相続放棄申述受理通知書を受け取るには、その相続人とやり取りする必要があります。同居の家族が相続放棄したようなケースはさておき、相続人間の関係によっては連絡が難しい場合もあるため、手続きのスムーズさを考えると、家庭裁判所に相続放棄申述受理証明書を請求する方が手っ取り早いケースもあります。

相続放棄申述受理通知書」と「相続放棄申述受理証明書」の記載内容の違い

それぞれの書類の記載内容は以下の通りです。管轄の家庭裁判所によって様式は様々ですが、おおむね以下のような内容が記載されます。

相続放棄申述受理通知書

事件番号 令和〇年(家)第0000号

申述人氏名 山田 太郎

被相続人氏名 山田 花子

本籍 東京都千代田区○○

死亡年月日 令和〇年〇月〇日

申述を受理した日 令和〇年〇月〇日

あなたの申述は以上のとおり受理されましたので通知します。
なお、手続き費用は申述人の負担とされました。

令和〇年〇月〇日

東京家庭裁判所 裁判所書記官 ○○ 印

相続放棄申述受理証明書

事件番号 令和〇年(家)第0000号

申述人氏名 山田 太郎

被相続人氏名 山田 花子

本籍 東京都千代田区○○

最後の住所 東京都新宿区○○

死亡年月日 令和〇年〇月〇日

申述を受理した日 令和〇年〇月〇日

上記の通り証明する。

令和〇年〇月〇日

東京家庭裁判所 裁判所書記官 ○○ 印

見ての通り、内容には実際にはほとんど違いはありません。
相続登記や金融機関の手続きにおける違い

相続登記や金融機関の手続きにおいて、相続放棄があれば、次順位の相続人に相続権が移ります。そのことを証明するためには、相続放棄があったことを示す書類の提出が必要となります。

この場合、相続登記にしても金融機関の手続きの手続きにしても、基本的には、相続放棄申述受理通知書と相続放棄申述受理証明書のどちらでも手続きが可能ですが、金融機関によっては証明書の提出を求める場合もあるため、事前に確認が必要です。

相続放棄の手続きが完了しても、それだけで全ての手続きが終わるわけではありません。相続放棄申述受理証明書の取得や、次順位の相続人への対応、金融機関の手続きなど、状況によって対応すべきことが変わります。

相続放棄に関する手続きや書類の取得についてお困りの方は、ぜひ当事務所へご相談ください。専門家がスムーズな手続きをサポートいたします。