合意と同意の違い

法律を扱っていると、しばしば「合意」と「同意」という言葉に出会います。どちらも当事者双方の意思が一致したという意味で、同じように思えます。

しかし、この2つの言葉には大きな違いがあります。特に法律文書やビジネス文書を作成する際には、意味の違いを意識して、しっかりと使い分けておく必要があります。

「合意」とは、契約交渉など対等な立場の相手と意思を一致させることです。「お互いの意思を合わせる」ということです。

一方で、「同意」とは、一方から出した条件などについて相手に内容をのんでもらうときに使います。「一方が出した条件に意思を同じくしてもらう」ということです。

「お互いに合意した。」「相手に同意してもらった。」というように文例を出すと分かりやすいかもしれません。

「合意」が必要な場面

相続の場面でいえば、遺産分割協議は「合意」です。遺産分割協議は相続人がそれぞれ対等な立場で話し合って、最終的には、相続人全員が内容について納得して「合意」するものです。

もし「同意」だとすれば、一人の相続人が内容を決めて、一方的にほかの相続人に内容についての確認を行うといったことになってしまいます。

また、会社と雇用契約を締結するときも、労働契約は対等な立場で「合意」するものだと労働契約法に定められています。(実際の現場では、あらかじめ会社が作成した労働条件通知書にサインするといった「同意」に近い形になっていると思いますが。)

「同意」が必要な場面

一方で、例えば生命保険契約のようにあらかじめ「約款」が決まっていて、保険契約者としてはその内容を変更できないといったようなケースでは、「同意」するということになります。

法律やビジネス文書を読むときは、合意と同意の違いというように、似て非なる言葉の意味を意識しながら読まないと大きな誤解を生むこともありますので、注意しましょう。