被廃除者を含めて相続登記が行われた場合は更正の登記を申請する
推定相続人の廃除が確定すると、廃除された推定相続人は相続する権利を失いますので、遺産分割協議への参加もできなくなります。
廃除された旨は戸籍にも記載されますので、戸籍の記載をもとにその者を除いた相続人で遺産分割協議を行えばよいということになりそうです。しかし、廃除は代襲相続の原因となります。そのため、廃除された相続人について子がいる場合には、その子を代襲相続人として遺産分割協議を行う必要があります。
結局、推定相続人について廃除があった場合には、代襲相続人の有無を明らかにするために、廃除された者の出生から被相続人死亡時までの戸籍が必要になります。被相続人の死亡後に廃除された者に子が生まれたとしても代襲相続人にはならないので、戸籍は被相続人の死亡時まででよいということになります。
被廃除者を含めて相続登記が行われた場合は更正の登記を申請する
廃除は審判の確定によって効力を生じますが、戸籍に記載されていなければその事実は明らかではなく、被廃除者を含めたまま登記が行われることもあり得ます。
こうした場合には、廃除された者の持分をその他の相続人に移転するための登記が必要になります。例えば、A,Bが相続人で共同名義で相続登記したあとに、Bが廃除された場合には、BからAへの更正登記が必要になります。この場合は、Aを登記権利者、Bを登記義務者として共同申請を行います。
また、Bが排除されて、その子Cがいた場合にはCを登記権利者、Bを登記義務者として更正登記を共同申請することになります。
更正の登記は、不動産1件につき1,000円です。
この場合には、もしBの持分に抵当権を設定している者などの利害関係者がいれば、その者の印鑑証明書付きの承諾書や裁判の謄本などが必要になります。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている