Last Updated on 2024年12月31日 by 渋田貴正

資本剰余金とは、株主から払い込みを受けた金額のうち資本金に組み入れた金額以外の金額、その他純資産の中での振替(資本取引)によって計上される額です。

株式会社と合同会社では、大きく分けて、資本剰余金はそれぞれ以下のような区分になります。合同会社では株式会社と異なり、資本準備金が存在しないので、資本金以外はすべて資本剰余金となります。

株式会社 資本準備金
その他資本剰余金
合同会社 資本剰余金

資本剰余金を資本金に組み入れる手続き

株式会社では、資本剰余金を資本金に組み入れる手続きは、株主総会の普通決議で行います。これは資本準備金でも、資本準備金以外のその他資本剰余金でも同じことです。

資本金が増加するということは、株主資本がより強固になるということなので、株主総会も特別決議までは求められず、普通決議で十分ということになります。

株主総会では、以下の点を決議する必要があります。
1)減少する資本剰余金(資本準備金やその他資本剰余金)の額
2)減少の効力発生日
3)資本準備金の減少の場合は、その全部または一部を資本金とするときはその旨及び資本金に組み入れる額

3)は資本準備金の減少のみです。つまり、その他資本剰余金の場合は、その他資本剰余金については、全額資本金に組み入れる必要があるということです。

また、資本準備金やその他資本剰余金を減少させることで発生しそうな債権者保護手続きも、減少させる資本剰余金を全額資本金に組み入れるのであれば、必要ありません。これには分配可能額が大きく関係します。

分配可能額は、ざっくりと以下の計算式になります。
分配可能額=(その他資本剰余金+その他利益剰余金-期中の剰余金の配当額)-自己株式の帳簿価額

債権者としては分配可能額が増えることで会社財産が社外流出することについて、何らかのアクションを起こすために債権者保護手続きが存在します。それであれば、資本金への組み入れは、分解可能額に影響せず、むしろ取り崩しが最も大変な資本金に組み入れてくれるのであれば異議を述べる理由もないからです。

また、資本剰余金を資本金に組み入れることで資本金の額が増加するため、その登記が必要となります。ただし、資本剰余金を資本金に組み入れるのはいわゆる無償増資といって、新たに株式を発行するわけではありません。そのため、発行済み株式総数の変更の登記は必要ありません。