相続した建物に所有権の登記がなかったら?

相続した不動産について、所有権の登記がされておらず、表題登記だけのケースがあります。特に、建物の場合は、ローンで購入したようなケースでなければ、とりあえず建物の構造や床面積などの表題部だけを登記して、所有権の登記がなされていないといったことがまれに存在します。

こうした場合、相続登記の前提として、被相続人名義での所有権保存の登記が必要となるのでしょうか?答えは、「No」です。この場合は、相続人全員、または遺産分割協議によって特定の相続人がその不動産を引き継ぐということになれば、その相続人の単独申請により、相続人に直接所有権保存の登記を申請することができます。

また、複数の相続人の共有になるのであれば、その相続人の一人からの登記申請も可能です。(ただしこの場合には、申請人にならなかった相続人には登記識別情報の通知が行われないことに注意しましょう。)

相続人による所有権保存登記

通常の所有権保存の登記と異なる点は、表題部に記載された所有者(被相続人)と所有権を持つ登記名義人(相続人)が異なるため、相続に関する書類が必要になります。

登録免許税については、通常の所有権保存や相続登記と同じく不動産評価額の0.4%です。

所有権保存の登記がない建物には比較的古いものが多い傾向です。所有権保存の登記を行っておけば、その建物を取り壊すにしても、取得した相続人の単独で手続きができます。もし、所有権保存の登記を経由していないと、登記上の所有者が明らかでないため、相続人全員が関与する必要が出てきます。

取り壊し予定だったとしても、スムーズに手続きを進めるために相続した建物の所有権保存の登記は行ったほうがよいでしょう。それほど登録免許税もかからないですし、土地の相続登記と必要書類も共通です。

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