失踪宣告の審判確定後の流れ
失踪宣告の申し立ては、家庭裁判所での手続きだけでも半年はかかる長い手続きです。それでは、無事に家庭裁判所で失踪宣告の審判が終わったら、その後はどうなるのでしょうか?
失踪宣告の審判が確定しても、自治体と家庭裁判所の間で失踪者を除籍してもらうようにやり取りしてくれるわけではありません。
失踪宣告が終わると、家庭裁判所から失踪宣告の審判所の謄本、続けて確定証明書という書類が届きます。この2点の書類に加えて、「失踪届」という書類を作成して、その3点を失踪者の戸籍がある自治体、または届け出を行う者のお住まいの自治体に提出します。提出については、郵送でも可能です。
失踪宣告を行うということは、そのまま失踪によって除籍された戸籍が必要なケースが多いと思われます。そのため、失踪者の戸籍がある自治体に郵送で提出して、併せて失踪後の戸籍も同時に請求しておくと便利でしょう。
失踪届の自治体への提出期限
自治体への失踪届の提出期限は、失踪宣告の審判確定の日から10日以内(10日目が役所の休日の場合、その日以降の最初の平日)となります。余裕があるとはいえ10日間しかないので、速やかに手続きを行う必要があります。
万が一提出期限を過ぎてしまった場合には、失踪宣告の審判確定日をずらすことはできませんので、失踪届の提出前に自治体の担当課に対応を確認しておくとよいでしょう。
失踪届については、多くの自治体のホームページでダウンロードが可能です。失踪届のフォームがない自治体もありますが、全国的に同じ様式なので別の自治体のものを印刷して届け出ても問題ないです。
自治体に失踪届を提出したその後
自治体に失踪届を提出したあとは、自治体での手続きとなります。家庭裁判所での審判が確定していて、書類が揃っているとはいっても即日除籍の処理をしてもらって、提出したその日に失踪者が除籍された戸籍を入手できるわけではありません。
まずは自治体から、管轄の法務局に確認が行われます。そして法務局での確認が済んでから、いよいよ自治体の戸籍で除籍の作業が行われます。そのため、失踪届・審判所謄本・確定証明書の3点を提出してから、失踪者の除籍が行われるまでには、早くても2週間程度はかかります。いくら自治体にお願いしても法務局も絡む問題なので、ここは手続きが終わるのをじっと待つしかありません。
失踪によって除籍が行われれば、ようやく不動産登記や預金の解約などを進めることができるようになります。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている