未成年者でも印鑑登録ができる
未成年者、つまり満18歳未満の人でも自治体で印鑑登録をすることが可能です。しかし、未成年者であればだれでも印鑑登録できるわけではありません。
印鑑登録については、各自治体が定める条例で登録できる者が定められています。そして、ほぼすべての自治体(検証していませんが、おそらく全自治体)で、条例で以下のように定めています。
次に掲げる者については、印鑑の登録を受けることができない。 (1) 満15歳未満の者 (2) 意思能力を有しない者 |
意思能力とは法律上の言葉で、簡単にいえば自分の行動の結果を予測・理解できるくらいの意思をもつことをいいます。この意思能力がない者は印鑑登録できませんが、意思能力の有無にかかわらず、満15歳未満の者は印鑑登録ができないということになっています。
ということは、未成年者であっても15歳から17歳の人は印鑑登録できるということです。
未成年者の印鑑登録の方法
未成年者で印鑑登録をする場合は、特に親の同意や親が印鑑証明書の代理登録を行うことは必要ありません。そもそも未成年者の行為を制限しているのは、民法の以下の条文です。
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法律行為とは、契約など権利を発生させたり消滅させたりといった行為などを指す抽象的な概念ですが、印鑑登録については単に印鑑を自治体のシステムに登録するだけの行為です。つまり法律行為とは言えないので、未成年者が単独で行うことができます。もちろん未成年者が実印を押印して契約する、といったことになれば親の同意が必要です。
相続で未成年者の印鑑証明書が必要になる場面
未成年者は遺産分割協議に単独で参加することはできず、特別代理人の選任などの手続きを行う必要があります。遺産分割協議書に押す実印も未成年者のものではなく、特別代理人(ケースによっては法定代理人)の実印となります。
また、金融機関の相続預金の口座解約についても、未成年者ではなく特別代理人や法定代理人の実印を使用します。
それでは、未成年者の印鑑証明書は相続手続きでは使わないのかといえば、そうとも言えません。状況はかなり限定的ですが、例えば未成年者が生前に被相続人から多額の贈与を受けていて特別受益者に該当するといったケースでは、特別受益者に該当する証明書を未成年者自らが作成して、自らの実印と印鑑証明書を添付することができます。
これによって、その未成年者が遺産分割協議に参加することなく、かつ特別代理人の選任もせずに相続登記を進めることが可能です。(口座解約については、金融機関への確認が必要です。)
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている