家庭裁判所に提出した戸籍などの原本還付の方法
遺言の検認や相続放棄、特別代理人の選任などで家庭裁判所に戸籍や住民票などを提出することがあります。
こうした書類については、その後の登記手続きや、相続預金の口座解約、相続税の申告などでも使用する可能性があります。そのため、家庭裁判所に提出した書類も基本的には返却をしてもらったほうが何かと便利です。
ただし、家庭裁判所に提出した書類については、そのままでは返却してもらえません。もし返却してほしい場合には、「提出書類の還付申請書」という書類の提出が必要です。また、還付申請書と合わせて、還付してほしい書類(戸籍など)のコピーと返信用封筒も同封しておく必要があります。
相続登記の申請では戸籍のコピーはつけなくても、相続関係説明図を添付しておけば戸籍はそのまま返却してもらえますが、家庭裁判所については事情が異なり、還付申請書を提出しない限りは、原本は家庭裁判所での保管となります。
原本還付の注意点
原本還付を希望する際には、相続放棄などの各種申立書を提出する際に、いっしょに還付申請書を提出するのが最もスムーズです。もし申立書と同時に提出できなかった場合には、後日還付してほしい書類のコピーと還付申請書を提出することで還付を受けることもできます。ただし、この場合は提出した戸籍などの書類のコピーが手元にある必要があります。
また、細かい話ですが、後日還付の場合は、裁判所の受理印やファイリング用の穴がついていることがありますので、完全な戸籍の還付を希望の場合は必ず申し立てと同時(郵送の場合は申立書に同封)に書類の還付申請を行うようにしましょう。
もし、後日還付が必要なったけど、手元に書類のコピーがないといった場合は、もはや還付を受ける方法はありません。どうしても必要ということだと一旦申し立てを取り下げるなどが必要になります。ただし、その場合相続放棄の熟慮期間のように申し立ての期間が決まっているようなケースでは、取り下げてしまうと再度の申し立てができなくなるケースもありますので、申し立ての取り下げは慎重に行わなければなりません。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている