Last Updated on 2024年12月31日 by 渋田貴正

合同会社の定款の絶対的記載事項

合同会社の定款では、以下の事項を必ず記載すべき事項、いわゆる絶対的記載事項として挙げられています。

1 目的
2 商号
3 本店の所在地
4 社員の氏名又は名称及び住所
5 社員が有限責任社員である旨
6 社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)及びその価額又は評価の標準

この中で、株式会社と違って合同会社に特有の記載事項として挙げられるのが、5と6です。

社員が有限責任社員である旨は単にその旨を定款に記載しておくだけですので大したことはありませんが、6についてはかなり重要な記載事項となります。

株式会社でも定款に発起人の出資額や出資の最低額は記載する必要がありますが、あくまで発起人に限られます。その後、株主がどのように変動しても、定款をその度に変更する必要はありません。上場会社などで頻繁に株主が変動するようなケースを考えれば、株主が変わる都度定款を変更するのは不可能だと分かります。

しかし、合同会社では、社員の加入や退社、既存社員が新たに出資を追加するというように、社員の出資額が変動するたびに定款を変更する必要があります。

合同会社の定款で社員の出資額を記載する理由

合同会社の定款で各社員の出資額を記載する理由として最も大きなものは、社員の自益権、つまり合同会社から損益の分配を受けるための基準になるためです。

合同会社の損益分配としては、以下のように定められています。

会社法 第622条

  1. 損益分配の割合について定款の定めがないときは、その割合は、各社員の出資の価額に応じて定める。
  2. 利益又は損失の一方についてのみ分配の割合についての定めを定款で定めたときは、その割合は、利益及び損失の分配に共通であるものと推定する。

つまり、定款に別段の定めがない限りは社員の出資額に応じて各社員に損益の分配が行われます。そのため、定款を見れば自分の損益分配の割合が分かるという仕組みになっています。

また、株式会社でいうところの株主名簿の役目も果たしています。定款を見れば、だれが出資者(社員)でいくら出資しているかが分かります。そのため別途社員名簿のようなものを作る必要がありません。(株主名簿は会社法上作成義務がありますが、社員名簿というものは定款がその役割を果たすので、作成の必要はありません。まれに金融機関で口座を作る際に求められることがあるようですが、本来は社員名簿なるものを求められれば定款を出せばよいということになります。)

合同会社の定款は、出資の変動に合わせて、常にアップデートしていかなければならないということです。