Last Updated on 2024年12月31日 by 渋田貴正
定款認証後、会社設立登記申請までの定款の変更
株式会社においては会社設立登記を申請する前に公証役場にて定款の認証を受ける必要があります。
定款の認証は、定款の中身が法律に違反していないことを公証人が確認の上行われます。つまり公証人が認証した定款には法律に違反していないというお墨付きを与えられたものです。
その認証を受けた定款の中身を会社設立前に変更するということは、その変更箇所が法律に違反していないか改めて公証人が確認の上認証を受ける必要があります。
しかし、以下の2つのケースについては、例外的に公証人の再認証を受けなくても最初の定款、いわゆる原始定款を変更することができます。
1)定款に記載した発行可能株式総数を変更する場合
2)変態設立事項について、裁判所の変更決定があった場合
その他の変更のケース
上記の2つのケース以外で一度公証人の認証を受けた原始定款を変更したい場合には、発起人全員で変更事項を明らかにした書面を作成して発起人全員で署名の上、その書面に公証人の認証を受ければ、その内容で登記申請することができます。
誤字脱字があったは公証人の誤記証明で対応できることも
公証人の認証を受けた定款について誤字脱字、その他簡単な訂正があった場合には、定款の認証をした公証人から「誤記証明」という書類を発行してもらえます。内容が完全に変更になる場合には発起人の決定書への認証が必要になることもありますが、例えば発行可能株式総数を1万株にしようと思っていたのに10万株になっていたといったケースなどです。どこまでが誤記証明で対応してもらえるのかについては認証した公証人に確認してみましょう。ちなみに誤記証明は発行手数料はかかりません。
ただし、誤記証明はもっぱら登記のために使う書類です。もし定款の認証をした後に誤字などに気付いたとしても、それが登記する事項以外の事項であれば、会社設立後に定款のデータを変えてしまえば問題ありません。公証人の認証を受けた原始定款は、あくまで登記のための書類であり、会社設立後は随時アップデートしていけばよいのです。
ただし、誤記が登記に絡む事項であれば会社設立の登記申請の段階で修正が必要です。登記は定款を正として記載されている内容を一字一句相違なく反映していくためです。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている