Last Updated on 2024年12月31日 by 渋田貴正

種類株式を廃止するには株主総会と種類株主総会の特別決議が必要

いったん発行した種類株式について、その定めを廃止する場面があります。

・出資先から優先株式を発行する条件で出資を受け入れた場合で、その後出資が引き上げられたため、当該種類株式の登記が必要なくなるケース

・新たに出資を受け入れるにあたって、既存株主が持つ優先株式を普通株式に転換する必要があるケース

などが考えられます。

種類株式を廃止するには、定款変更を伴いますので、まずは株主総会での特別決議が必要となります。

そのうえで、種類株主総会での特別決議も必要となります。この場合には、株式の内容の変更に該当しますので、たとえ種類株主総会の決議を省略できる旨が種類株式の内容として定められていたとしても、種類株主総会の決議を省略することはできないことに注意が必要です。

この場合、種類株主にとっては不利に働くケースが多いです。そのため、個別の合意が必要かという点については、種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとして種類株主総会の特別決議を経由していれば個別の合意がなくても問題ないということになっています。

会社法 第322条

  1. 種類株式発行会社が次に掲げる行為をする場合において、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該行為は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会。以下この条において同じ。)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。

種類株式を廃止する登記

種類株式を廃止する場合は、種類株式の内容とともに、発行可能種類株式総数の廃止も必要です。

この場合は、「発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の廃止」ということで登記申請することで、既存の種類株式関連の登記が抹消されることになります。