Last Updated on 2024年12月31日 by 渋田貴正
代表取締役である取締役が、代表取締役のみを退任してただの取締役に変更となることがあります。会社の代替わりのほか、会社のビジネス転換により代表取締役の変更を行うケースや、共同代表のうち一人が代表取締役を退任するケースなどが考えられます。
代表取締役の地位のみを退任するときは、以下のような形式があります。
1)代表取締役の地位のみの辞任
2)代表取締役の地位の解職
3)各自代表の場合の代表権喪失
4)代表取締役の地位の任期満了
代表取締役の地位のみの辞任
代表取締役の地位の辞任については、取締役会の設置の有無によって必要な手続きが変わってきます。
取締役会がない会社で、定款又は株主総会の決議によって定められた代表取締役については、単に辞任届を提出するだけではなく、代表取締役の辞任または定款変更についての株主総会の承認決議が必要となります。定款や株主総会の決議で代表取締役を定めた場合は、代表取締役の就任承諾なくその者は代表取締役となります。この代表取締役は自分の意思で就任しているわけではないので、退任する場合にも自らの意思での辞任届ではなく選任したときと同じ方法で代表取締役を退任することになります。
一方で、取締役設置会社の代表取締役や、定款の定めに基づく互選によって選任された代表取締役については辞任届によって代表取締役を辞任することができます。
代表取締役の地位の解職
代表取締役の解職については、定款の変更または株主総会の決議(互選によって代表取締役を定めている場合は取締役の過半数の一致)、取締役会があれば取締役会の決議によって行います。
各自代表の場合の代表権喪失
代表取締役を定款や株主総会、取締役の互選などで選任していない株式会社では、各取締役が代表取締役となります。その場合で、新たに取締役の一人を代表取締役に選任した場合には、選任されなかった取締役は代表取締役ではなくなります。
このケースでは、代表取締役を退任するというよりは、もともと持っていた代表権を喪失するという扱いになります。
代表取締役の地位の任期満了
取締役については任期がありますが、通常は代表取締役の地位そのものについては任期は設けません。しかし、定款などに代表取締役のみについて任期を設けることが禁止されているわけではないので、そうした定めに基づいて代表取締役の任期満了による退任というケースも考えられます。(実例としてはほぼないかもしれませんが。)
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている