Last Updated on 2024年12月31日 by 渋田貴正
事業目的における制作と製作の使い分け
会社設立の際に必ず決めなければならないのが事業目的です。今では具体性がなくても会社設立登記には支障がなくなったとはいえ、せっかく設立する会社なので事業目的にもある程度はこだわりたいという人も多いと思います。
今回は、事業目的の中でも頻出の言葉「製作」と「制作」の違いについて考えてみます。
辞書で引いてみると、
制作-芸術作品などを作ること。
製作-道具や機械などを使って品物を作ること。
といったことが一つ目の意味として記載されています。どちらも作ることということで、よく区別が分からないので、具体的な事例を挙げて考えてみましょう。
「ホームページの制作」と「ホームページの製作」という言い方ではどのように異なるのでしょうか?
イメージとしては制作は全体を作り上げること、製作は具体的な作業を指す感じです。ホームページについてお客様に納品するまでの工程を管理して完成までもっていくということは「制作」にあたります。一方、ホームページの一部の機能や画像、デザインなど個別のプロセスについは「製作」という言葉が適切と区分できます。
この例はホームページというソフト的なもので例を挙げましたが、モノ、つまりハード的なものでも同じイメージで使えます。
「実用品の制作」といえばその商品の機能やデザインなどを決めて商品化できるように持っていくこと、「実用品の製作」といえば実際に製造する行為を指します。
このような区分で考えていくと、会社設立の場合の事業目的に使うのは「制作」が多いように思えます。一人で会社を設立して製造までを一貫して行うことは少なく、商品のコンセプトを決めてあとは外注先やOEM先に発注という流れであれば「制作」です。ただ、職人的なこだわりを持った商品を自社で製造するのであれば、あえて「製作」という言葉を使うのもよいかもしれません。
このように、言葉にもこだわりを持って事業目的を考えてみるのも会社設立のプロセスの楽しみの一つといえるかもしれません。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている