Last Updated on 2024年12月31日 by 渋田貴正
特別取締役とは?
取締役会設置会社では、以下の事項については取締役会での決議を経る必要があります。
- 重要な財産の処分及び譲受け
- 多額の借財
- 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
- 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
- 第676条第1号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
- 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
- 第426条第1項の規定による定款の定めに基づく第423条第1項の責任の免除
しかし、日常業務に近い事項まで取締役会の決議によらなければならないとなると、意思決定のスピードも落ちてしまうということも考えられます。そこで、取締役が6名以上いて、かつ社外取締役が1名以上いる会社については、取締役の中から3名以上の特別取締役を定めて、特別取締役に日常的な意思決定を任せるということが可能です。
特別取締役は6名以上いる取締役の中から3名以上で構成される必要があります。特別取締役の中に社外取締役が入っている必要はありません。迅速な意思決定を目的とする特別取締役の制度で、社外取締役を構成員とすることは目的に反するためです。
取締役会設置会社ではない株式会社においては、取締役会の開催ということも不要なので、特別取締役の定めをすることはできません。
特別取締役が決定できる事項
特別取締役によって決定できる事項は、取締役会の決定事項のうち、以下の2つです。
- 重要な財産の処分及び譲受け
- 多額の借財
特別取締役による決議は、議決に加わることができる特別取締役の過半数が出席し、出席した特別取締役の過半数をもって決議します。
ちなみに、特別取締役による議決の定めを設けたからといって、取締役会で決定することができなくなるわけではありません。事案によっては特別取締役の定めがあっても、通常の取締役会による決議にすることは可能です。
特別取締役の定め方
特別取締役の定めについては、定款で定める必要はありません。
取締役会において特別取締役による議決の定めを決定して、どの取締役を特別取締役にするのかを決議すればOKです。
特別取締役の定めの登記
特別取締役の定めを設けた場合には、以下の事項を登記しなければいけません。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている