相続財産法人への名義変更登記
相続人がいるかどうか不明(戸籍上はいない)なケースでは、相続財産清算人がその財産を管理処分します。
相続財産清算人が関与する登記手続きとしては、大きく分けて6パターンあります。
1)被相続人名義の不動産を相続財産法人名義に変更する登記
2)生前の契約に基づく所有権移転登記など、相続財産の管理としての登記
3)相続不動産を家庭裁判所の許可を得て売却する場合の登記
4)不動産の共有持分を他の持分共有者に帰属させる登記
5)不動産を特別縁故者に分与する登記
6)不動産を国庫に帰属させる登記
このうち、5)は特別縁故者、6)は国が申請するため直接相続財産清算人が関与することはありません。
このうち、1)の相続財産法人名義への変更登記は、文字通り「変更」登記です。相続財産法人への所有権移転登記ではありません。被相続人名義の財産を相続財産法人に帰属させるのですが、相続財産法人に所有権が移転したわけではなく、あくまで相続手続きを完結させるために作られた相続財産法人にひとまず帰属させるという意味合いです。
そのため、相続登記などと異なり登録免許税も1,000円です。氏名変更の登記と同じようなイメージです。
上記の2)~6)の登記の前提として、相続財産法人名義に変更されている必要がありますので、その後の手続きをスムーズに進めるためにも相続財産法人への変更登記は早めに済ませておくとよいでしょう。登録免許税も不動産1件当たり1,000円で済みますので、費用もそれほど掛かりません。
相続財産法人名義に変更しておくことで、それ以上は相続財産について清算手続きの流れでしか変更できない、いわばロックされた状態になります。
相続財産清算人としては、相続財産法人への名義変更後、家庭裁判所に管理報告書を提出しておかなければいけません。
当事務所でも相続財産法人への変更登記の手続きを代理しています。また、その前段階としての相続財産清算人の選任申立手続きについても、特別縁故者となるべき方からのご依頼に基づいて承っています。お気軽にお問い合わせください!
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている