普通養子縁組と特別養子縁組の違い

養子縁組には2種類あります。一つが普通養子縁組、もう一つが特別養子縁組です。どのようなケースでどちらの制度を使うべきかということも議論になりますが、ここでは双方の制度について、どのような違いがあるのかということをまとめました。

普通養子縁組 特別養子縁組
子の相続権 養親、実親双方の相続人になれる 養親の相続人にのみなれる(実親の相続人にはなれない)
養親の基準 20歳以上であること(配偶者の有無は問わない) 配偶者がいて25歳以上であること(ただし、夫婦の一方が25歳に達していればもう一方は20歳以上でもよい)
夫婦そろって養子縁組することが必要(夫婦の一方の実施を特別養子縁組する場合を除く)
養子縁組の成立 養親と養子の合意と戸籍上の届け出によって成立 家庭裁判所への申立によって、家庭裁判所が認めた場合に成立
実親による同意 養子となる人が15歳未満であるときには法定代理人が本人に代わって縁組の承諾をする(養子となる人が15歳以上であれば、単独で養子縁組の合意ができる) 原則として、養子となる者の実親の同意が必要。ただし、父母の同意を得ることができない状況や、同意を得ることが養子の利益を害する場合は実親の同意なく養子縁組ができる
離縁 養親と養子の協議によって離縁できる

夫婦で養子縁組した場合に、片方の養親とだけ離縁することもできる

家庭裁判所が養子や実親、検察官の請求により離縁させることができる

離縁する場合は両方の養親と離縁しなければならない

養子縁組までの期間 届け出によって即効力が発生 養子縁組までに6か月以上養親による養子の監護(いっしょに生活すること)が必要
相続税の基礎控除 (1) 被相続人に実施がいる場合
養子1名分まで基礎控除に算入できる(2) 被相続人に実の子供がいない場合
養子2名分まで基礎控除に算入できる
養親ー実子と同じく基礎控除に算入できる

実親ー親族関係が終了しているため相続人にならず、基礎控除にも参算入できない

普通養子縁組と特別養子縁組の相続での違い

普通養子縁組が実子の配偶者や孫などにも相続権を付与する場合や、多少なりとも相続税の基礎控除を増やしたいといった相続対策として行われることがある一方で、特別養子縁組は、実親による子の監護や扶養が困難な場合に、子のために設けられた制度です。そのため、普通養子縁組の話は相続対策といった点から語られることもありますが、特別養子縁組はもっとその手前で子の将来を守るための制度であり、相続対策といった文脈で語るべき制度ではありません。

実際に、普通養子縁組では実親との相続関係は維持されますが、特別養子縁組では養子は実親の相続人にはなりません。つまり、特別養子縁組によって、養子と実親との親族関係が終了するということです。

同じ養子の制度ですが、普通養子縁組と特別養子縁組では、まったく異なる趣旨の制度なのです。