Last Updated on 2025年1月1日 by 渋田貴正
船員の住所判定の方法
個人の所得税の課税範囲については、その人が居住者に該当するか非居住者に該当するかで大きく変わります。
居住者であれば基本的に国内国外問わずすべての所得について課税される一方、非居住者であれば国内源泉所得のみが課税対象となります。
このときに迷うのが船員の方です。先日船員の方から確定申告の相談を受けた際に判断に迷ったため、改めてここで船員についての所得税の課税範囲についてまとめます。
年間の多くの部分を国外で過ごす船員については、居住者と非居住者の判定が特殊です。
所得税の通達では、以下のように記載されています。
所得税通達 3-1
船舶又は航空機の乗組員の住所が国内にあるかどうかは、その者の配偶者その他生計を一にする親族の居住している地又はその者の勤務外の期間中通常滞在する地が国内にあるかどうかにより判定するものとする。 |
つまり、家族を日本に残して航海に出ているような場合は、家族が日本に住んでいるのでその人も日本に住所があると判定されます。つまりその船員は居住者になるということです。
もし家族がいなければ、勤務外の期間に滞在する地で判定することになります。船を降りれば日本に住んでいるという場合には日本に住所があると判定されます。
これは国籍は関係ありませんので、もし日本国籍の船員で家族を海外に残して日本近海で業務をおこなったとしても、その人は非居住者となります。あくまで家族は海外にいるためです。
船員については、社会保険も船員保険という独立の制度がありますが、所得税についても、その居住場所の判定を本人ではなく家族の居住地で判定するということで特殊な扱いになっています。船員の世界は奥が深いです。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている