Last Updated on 2025年1月2日 by 渋田貴正
合同会社も株式会社と同じく解散することができます。合同会社の解散事由として、会社法では以下のように規定されています。
会社法 第641条
持分会社は、次に掲げる事由によって解散する。
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株式会社との違いとしては、「社員が欠けたこと」が解散理由になっている点です。株式会社では自己株式の所有が認められていますが、株式というモノではなく社員というヒトそのものが集まって構成される合同会社では、会社が社員から持分を買い取る、いわば自己持分というものも認められません。そのため、社員がいなくなること即ち会社が存続できないということになります。例えば唯一の社員が死亡すれば、死亡は社員の退社事由であるため、基本的にその合同会社は解散することになります。
また、もう一つ、株式会社では運用されているみなし解散の制度が合同会社にはありません。みなし解散は12年間登記が動いていない株式会社について法務局の職権で解散の登記を行う制度です。これは役員の任期が最長10年のため、少なくとも10年に1回は重任や退任の登記が行われてしかるべきであるために可能な制度です。一方、役員の任期が定められていない合同会社では何も変化がなければずっと登記が行われないということもあり得ます。そのため12年間登記が動かないことをトリガーにするみなし解散の制度は合同会社には適用できないということです。
解散後の手続き
合同会社を解散すると、清算人の選任が必要です。
合同会社では清算手続きは株式会社の清算手続きとほぼ同じです。
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つまり、合同会社の清算手続きでは債権者保護手続きが必要となります。合同会社の社員は有限責任のため債権者の保護をを行う必要があります。この点は、合名会社や合資会社で認められている任意清算の手続きとは異なる点です。
ただし、この債権者保護手続きを行ったことを証する書面(官報公告の該当ページなど)は清算登記の添付書類ではありません。ただし、合同会社の清算登記については、清算人の就任日から最低でも2か月間の間は空く必要がありますので、その間にもし清算登記を申請しても、その登記は受理されず却下となります。このことは登記上債権者保護手続きの実施を証明する書類が不要であると言っているだけで、債権者保護手続きを経ずに合同会社の清算登記を申請してよいということはありません。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている