Last Updated on 2025年1月2日 by 渋田貴正
資本金払い込み先は日本の銀行のみ
株式会社で発起設立をする場合、各発起人は発起人名義の口座に出資金を払い込む必要があります。
このときにもし海外在住の方や海外法人で日本に銀行口座を持っていない者が発起人の場合は少々ややこしくなります。
発起設立において払い込みが認められているのは以下の金融機関です。
会社法施行規則 第7条 法第34条第2項 に規定する法務省令で定めるものは、次に掲げるものとする。
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銀行等には外国銀行の日本支店を含みますが、外国銀行の外国での支店は含まれません。
つまり、海外の人が発起人になる場合、以下のいずれかの金融機関の口座を保有していないといけないということになります。
1)日本の金融機関の国内外の店舗の口座
2)外国の金融機関の日本支店における口座
設立時代表取締役の個人名義口座でも代用可能
日本に住んでいた人であれば、日本の金融機関の口座を保有しているかもしれません。しかし、一度も日本に住んだことがない発起人や、海外法人が発起人になる場合には日本の金融機関の口座を保有していないということはあり得ます。
その場合には設立時の代表取締役の個人名義の口座で出資金を受け入れることもできます。発起人が口座を保有していなくても、設立時代表取締役が口座を保有していれば、その口座に出資金を入金することで会社設立手続きを取ることができます。
ただし、本来発起人口座に入金すべき出資金を設立時代表取締役名義の口座に入金するわけなので、発起人から設立時代表取締役への出資金の代理受領に関する委任状が必要となります。
この場合で、設立時代表取締役も外国の人で日本の金融機関の口座を保有していないという場合に、第三者(例えば日本の協力者)名義の口座に受け入れることができるのでしょうか?それはNGです。出資金は設立後の会社の元手になるため、発起人や設立時代表取締役以外の第三者が出資金を受け入れることは設立後の会社の安全性を阻害するため認められません。
発起人、設立時代表取締役のだれもが日本に口座を持っていないというようなケースでは、発起人として日本に銀行口座を持っている人を加えるか、設立時代表取締役として日本に銀行口座を持っている人に就任してもらうかという対応が必要となります。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている