Last Updated on 2025年1月2日 by 渋田貴正
合同会社では、通常は社員全員が業務執行社員として経営に参画しますが、定款で、特に社員の中から業務執行社員を指定した場合には、その指定された社員だけが業務執行社員となり、その他の社員は経営には参画しない出資者となります。
この業務執行社員が退任するケースは大きく分けて以下の3パターンあります。
1)定款の変更による業務執行権の喪失
2)退社
3)辞任
定款の変更による業務執行権の喪失
業務執行社員を定款で定めた場合は、定款の変更をすることにより業務執行社員の指定を解除することが可能です。
この場合は、社員としてのポジションは残しつつ、業務執行社員のポジションのみをやめることになります。業務執行社員は社員の中で特別に業務執行権を付与された者なので、この場合は「退任」とは言わずに「業務執行権喪失」ということになります。
業務執行社員の退社
合同会社を退社する場合には、もちろん社員のポジションが前提となる業務執行社員としての立場も喪失します。
合同会社の社員が退社する事由は会社法で以下のように定められています。それぞれに応じて合同会社の社員退社時の手続きは異なります。
業務執行社員の辞任
そもそも業務執行社員は社員の中から業務執行する社員と特別に決めたものであって、業務執行社員になるために就任承諾も必要ありませんし、合同会社と業務執行社員は委任関係にあるわけでもありません。
それでは業務執行社員は辞任できないのかといえば、そんなことはありません。
会社法 第591条(中略)
4.業務を執行する社員を定款で定めた場合には、その業務を執行する社員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。 |
上記のように正当な事由があれば辞任することができると定められています。
辞任ができるのは業務執行社員を定款で特別に定めた場合のみです。定款で業務執行社員を定めずに、社員全員が業務執行社員であるケースでは業務執行社員の辞任ということはできません。社員全員が業務執行権を持つということは社員の立場と業務執行権が不可分になっているためです。
もし定款で業務執行社員を定めていない場合で、一部の社員の業務執行権を無くしたければ、あらたに定款に定めを設けてその者以外を業務執行社員として定款に定めるといった流れが必要となります。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている