Last Updated on 2025年1月2日 by 渋田貴正

合同会社では、社員の加入は定款を変更することで行います。持分会社では社員の資格は定款の変更が完了すれば即発生しますが、特に合同会社においては、定款の変更に加えて出資の履行が完了して初めて社員としての資格を取得することができます。

会社法 第604条
  1. 持分会社は、新たに社員を加入させることができる。
  2. 持分会社の社員の加入は、当該社員に係る定款の変更をした時に、その効力を生ずる。
  3. 前項の規定にかかわらず、合同会社が新たに社員を加入させる場合において、新たに社員となろうとする者が同項の定款の変更をした時にその出資に係る払込み又は給付の全部又は一部を履行していないときは、その者は、当該払込み又は給付を完了した時に、合同会社の社員となる。

合同会社では全員が間接責任有限社員で構成されていて、会社の資産というものが最後のよりどころになるため、出資の履行完了をもって社員の資格を取得できるということになっています。

新たに加入する社員の出資の履行と定款変更の同意については、特に順番が決められているわけではありません。
先に定款変更について総社員の同意をしてしまってからその後出資の履行を行うというケースでは、結局出資の履行が完了するまでは社員になることはできません。その結果、定款変更の効力も生じず、いわば社員加入についての定款変更の同意は、出資の履行を停止条件として効力を発生するものであるということになります。

ちなみに、合同会社の社員加入のもう一つの方法である持分の譲渡による加入の場合は、あらたな出資の履行は必要ないため、定款の変更をすることによって社員加入の効力が発生することになります。

あまり例はありませんが、持分譲渡+新規出資による加入パターンの場合は、先に持分譲渡の手続きが終わればその時点で社員加入の手続きは完了して、その後の出資履行は持分の変更になります。