遺言の検認申立てができる人
遺言で遺贈を行う方法には、包括遺贈と特定遺贈の2パターンがあります。
遺言の中には、受遺者が相続人ではない場合もあります。遺言者に相続人がいない場合や、相続人はいるけど相続人以外に遺産を遺したいというケースです。このときに、遺言が自筆遺言であれば家庭裁判所による遺言の検認が必要となります。
この遺言の検認、申し立てられるのは相続人だけではありません。遺言の検認申立てができるのは以下の者です。
1)遺言書の保管者
2)遺言書を発見した相続人
つまり、相続人でなくても遺言の保管者であれば検認の申立ては可能です。
そもそも遺言の検認は、その遺言が法律の様式に従って作成されているかということや、遺言の内容について遺言検認時点での内容を固めてその後の偽造・変造を防止するための手続きであり、検認によってその遺言の効力が発生するというわけではありません。そのため、遺言の検認の申立ては相続人に限らず、生前に遺言を保管するように依頼されていた人や、死後に遺言を発見して保管している人であれば誰でも申立することは可能です。その遺言の有効性によって遺産を取得することができる、いわゆる利害関係者以外であっても遺言の検認申立ては可能です。
ただし、相続人以外の人が遺言の検認を申し立てる場合は、その遺言者の相続人などを明らかにする戸籍が必要になってきます。現実的には、遺言を保管している人であっても、もしその人が相続人や受遺者でなければわざわざ戸籍を収集して家庭裁判所に申し立てをして、ということを時間や費用をかけて行うことは考えにくいです。そのため、遺言の検認を申し立てるのは専門家以外であれば、多くのケースでは相続人か受遺者のいずれかになります。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている