非課税贈与と特別受益の関係
贈与税には住宅取得等資金の贈与税非課税など、いくつかの非課税特例があります。こうした特例を活用することで、贈与税を納めることなくまとまった額の贈与を受けることが可能です。
しかし、こうした特例を活用して贈与税の減免を受けた場合でも、贈与者が亡くなって相続が発生した際に注意しておくべきポイントがあります。
それは、あくまでこうした特例は税法上のものであり、民法上は生前贈与として遺産分割協議などをする上では特別受益として扱われるという点です。
贈与税が非課税といってもそれは税金計算の上で特別に認めている措置であり、遺産分割協議をするうえで、その分は特別受益だとほかの相続人が主張することができるということです。
特別受益になることを防ぐには?
特別受益については、民法で以下のように規定されています。
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贈与税の非課税制度を利用したからといって、上記の特別受益の規定が適用されないわけではありません。
ただ、贈与者としてはせっかく非課税で贈与したのに、その後自分の相続が発生した際にその贈与で相続人間に議論が発生してしまうのは本意ではないかもしれません。
そんなときは、特別受益である生前贈与について、そうしないための贈与者からの意思表示(持戻し免除の意思表示)を遺言に残しておくことが必要です。持戻しの免除の意思表示については、方法については規定されていませんが、遺言などで明確に持戻しの免除の意思表示をしておくことで、贈与者の相続が発生したときに相続人間での議論を避けることができます。
実際には持戻免除の意思表示を遺言などの文書で残しておくことは少ないかもしれません(そもそも持戻しという概念を知らないケースも多いです。)しかし、持戻免除の意思表示があったかどうかで相続人間に紛争が起こることもあり得ますので、贈与者として持戻しを避けたい場合はその旨を文書の形で残しておくことが重要です。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている