Last Updated on 2025年1月1日 by 渋田貴正
総社員の同意による退社には、退社する社員の同意も必要
合同会社の社員が退社する方法には法定退社と任意退社の2パターンがありますが、そのうち法定退社としては以下の事由が定められています。
一 定款で定めた事由の発生
二 総社員の同意
三 死亡
四 合併(合併により当該法人である社員が消滅する場合に限る。)
五 破産手続開始の決定
六 解散(前二号に掲げる事由によるものを除く。)
七 後見開始の審判を受けたこと
八 除名
このうち、最もよくあるのが、「総社員の同意」による退社です。
ここで、「総社員」には退社する社員も含まれるのかということがあります。結論から言えば、総社員には退社する社員も含まれます。もし含まれないとすると、AとBが社員の合同会社で、Aの一存でBを退社させることができるようになってしまい、「除名」という制度が不要になります。
結局、総社員の同意による退社とは、退社したい社員とその他の社員の間での合同会社の経営をするという全員の共同契約の一部解除ということになります。現実的にも総社員の同意の場面というのは、退社したい社員からの申し出、もしくは特定の社員を退社させたいその他社員から退社させたい社員への申し出という形になりますので、申し出を受けた側が承諾することで総社員の同意が成立するということになります。
もちろん総社員の同意による退社の場合も、持分の払い戻しが発生しますので、場合によっては減資の登記が必要となります。
ちなみに、総社員の同意による退社であればもちろん6か月の予告期間も不要です。総社員が同意している以上、あえて予告期間を設ける必要はないからです。
定款に定めれば、総社員ではなく社員の一部の同意でも退社させることができる
総社員の同意のほかに、定款の定めにより例えば社員の過半数の同意や、代表社員の指定といった事由で特定の社員を退社させることもできます。これは総社員の同意の要件を軽減しているわけではなく、「定款で定めた事由の発生」に基づく退社となります。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている