Last Updated on 2025年1月1日 by 渋田貴正
合同会社の業務執行社員には、会社との間の利益相反行為について、以下のように定められています。
会社法 第595条
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利益相反行為は大きく以下の2種類に分けられます。
直接取引 | 業務執行社員が自分自身の名義で会社と直接行う取引 業務執行社員が他の個人や法人の代表者や代理人として会社と直接行う取引 |
間接取引 | 会社と第三者との間の取引で、その結果会社と業務執行社員の間に利益相反が生じる恐れがある取引 |
いずれのパターンにしても定款に別段の定めがない限りは、合同会社の業務執行社員が利益相反取引を行う場合には、社員の過半数の承認が必要です。定款による別段の定めとは、例えば「社員の過半数の承認」や、「代表社員の承認」のように定めることです。
競業取引と利益相反取引の承認の違い
それぞれの会社形態で、承認には以下のような違いがあります。
競業取引 | 利益相反取引 | |
合同会社 | 対象の業務執行社員を除く社員全員の同意 | 対象の業務執行社員を除く社員の過半数の同意 |
株式会社 | 株主総会の普通決議 取締役会がある場合は取締役会の決議 |
株主総会の普通決議 取締役会がある場合は取締役会の決議 |
利益相反取引に比べて、より外部に会社の収益が流出しうる競業取引は、合同会社においては社員全員の同意というより重い要件が課せられています。(定款に別段の定めがあればそれに従う)
業務執行社員が承認なく利益相反取引をした場合
業務執行社員が利益相反取引をした場合、その取引自体は有効です。社内手続きができていないからといって取引が無効ということになれば取引の安全性が失われてしまいます。ただしなく利益相反取引し、承認た場合、その業務執行社員は会社に対して損害を賠償する義務が発生します。その損害額は業務執行社員が利益相反取引で得た利益の額と推定されます。(みなす、ではなく推定なので、利益以外に損害の計算ができれば、その額を用いることもできます。)
ただし、利益相反取引の場合は、競業取引と異なり、直接的に除名の原因には挙げられていません。ただし、「前各号に掲げるもののほか、重要な義務を尽くさないこと。」に該当することで除名に該当することは考えられます。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている