Last Updated on 2025年1月2日 by 渋田貴正

外国会社(日本国外で設立された法人など)が日本で継続取引を行う場合には、取引を開始するまでに日本に住所を有する代表者を決めたうえで、外国会社の登記を申請しなければなりません。外国会社の登記を行わずに日本国内で継続的にビジネスを行うことはできません。

登記した後に継続的にビジネスを開始した場合には、日本国内において行うビジネスについては、基本的には日本の法律が適用されることになります。

会社法 第823条
外国会社は、他の法律の適用については、日本における同種の会社又は最も類似する会社とみなす。ただし、他の法律に別段の定めがあるときは、この限りでない。

外国会社の登記自体は日本国外に存在している法人の概要を日本で登記するだけで新たに法人を日本国内で設立するわけではありません。しかし、国内でビジネスを行う以上は、法律については日本のものを適用するということです。「日本における同種の会社や類似する会社とみなす」となっていますので、ビジネスを行うということは多くの外国会社は株式会社や合同会社とみなして会社法以外を適用するということになります。

具体的にどのような法律が適用されうるのかといえば、法人税法、消費税法などの各種税法、独占禁止法、金融商品取引法などです。

外国会社も日本国内で法人税や消費税の申告が必要

外国会社も日本国内でビジネスを行う以上は法人税や消費税の申告が必要です。各法律上の外国会社の定義の違いは以下の通りです。

会社法 外国会社 外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するもの
法人税法 外国法人 内国法人以外の法人
消費税法 国外事業者 法人税法と同じ

法人税法や消費税法は内国法人以外の法人を外国法人として課税対象にしています。会社法上の外国会社には法人以外の外国の団体も含みますが、そのほとんどは外国で設立された会社であり、会社法上の外国会社と法人税法の外国法人はほぼ同視して問題ありません。

結局は、定義の違いはありますが、会社法の外国会社は日本で設立された法人と同じように、法人税法や消費税法が適用されるということになります。申告も必要ですし、外国会社の登記を終えた後はその旨の届出書(「外国普通法人となった旨の届出」)も必要です。いわゆる法人設立届出書は内国法人用なので、外国法人は別様式で外国会社の登記をした旨を税務署に届け出あることになります。

内国法人 法人設立届出書
外国法人 外国普通法人となった旨の届出書

ただし、外国法人の課税範囲は「国内源泉所得」に限られます。国内源泉所得にはさまざなな種類がありますが、ひとまずは日本国内で売上を上げればその分とそれに付随する経費を計上しなければならないというというように考えておけばよいでしょう。

外国会社の登記からその後の税務までを当事務所では幅広く対応しています。お気軽にご相談ください。