Last Updated on 2025年1月2日 by 渋田貴正

合同会社の社員とは、会社に出資して会社を運営する構成員です。株式会社の株主も同様に会社に出資していますが、合同会社の社員とは異なり、「株主」という立場では経営に参加することはできません。

また、持分が一身専属的であることも合同会社の社員の特徴です。株式であれば相続財産として相続することができますが、合同会社では社員の死亡は法定退社事由であり、定款で別段の定めがない限り社員が死亡(または合併)した場合には退社したことになり、持分の払い戻しが行われます。合同会社の社員の立場は経営と直接的に結びついているため、相続という原因で相続人が経営に関与することになるのを防止しています。

また、合同会社に特徴的なポジションとして「業務執行社員」があります。業務執行社員は社員の中でも直接的に経営を行う社員ということで説明されることも多いですが、それでは業務執行社員以外の社員を経営に関与しない出資者、株式会社でいうところの取締役ではない株主と同じ立場なのかといえばそうではありません。

会社法 第592条

  1. 業務を執行する社員を定款で定めた場合には、各社員は、持分会社の業務を執行する権利を有しないときであっても、その業務及び財産の状況を調査することができる。

上記のように、業務執行社員以外の社員にも業務の監視権があるため、業務執行社員以外の社員についても、株式会社の株主よりも大きな権限を持っているといえます。いわば、合同会社の業務執行社員以外の社員は、単なる出資者というわけではなく、株主兼非業務執行取締役ということになります。

合同会社の社員と株式会社の株主の違い

両者の違いをまとめると以下のようになります。

合同会社の社員 株式会社の株主
社員権の名称 持分 株式
責任 間接有限責任 間接有限責任
社員権の単位 原則として1人1単位 保有する株式数に応じる
死亡時 持分は原則として払い出し(法定退社事由) 株式は原則として相続
経営への関与 あり(定款に別段の定めがあれば「なし」) なし(取締役を兼務する場合は「あり」)