Last Updated on 2025年1月2日 by 渋田貴正
中国の会社が発起人となる場合に必要な書類
最近では、中国在住の人だけではなく、中国の会社が出資して日本で会社を設立したいという依頼も増えてきました。
中国の法人が日本で登記する会社の発起人になる場合、必要な書類は日本の法人が発起人となる場合と同様に考えればよいのですが、中国の法制度や登記制度などの違いから、準備すべき書類は日本の法人とかなり異なります。
日本の法人が発起人となる場合は、法務局発行の履歴事項全部証明書や印鑑証明書が必要となります。
いずれも中国の公証処で作成できる
しかし、中国では、日本のように法務局のような役所での履歴事項全部証明書や印鑑証明書の発行制度がありません。そこで、その代わりに中国現地の公証役場(公証処)で認証を受けた公証書を作成することになります。
中国では登記事項証明書のような制度はありませんが、代わりに登記すると「営業許可証」という書類が交付されます。この営業許可証は厚紙でその会社に1枚だけ交付されるものです。ちょうど日本の「賞状」のような感じの書類です。さすがにこの重要書類をそのまま日本の法務局に提出というわけにはいかないため、営業許可証のコピーについて原本と相違ない旨を中国の公証人に公証書を作成してもらうことで、日本でいうところの履歴事項全部証明書に代えます。
また、印鑑証明書についても印鑑登録制度がないため、公証処で印鑑証明書を作成して公証してもらうことになります。(署名証明書でもよいのですが、一般的には中国では印鑑自体は使用しているため印鑑証明書を作成するのが一般的です。)ただし、日本の法務局発行の印鑑証明書が、その会社の代表者が登録した印鑑であることと同様に、中国の公証処で作成する印鑑証明書も代表者が届け出たものである必要があります。そのため、その会社の代表者(中国では「法定代表人」と呼んでいます)が公証処に行って印鑑証明書を作成してもらう必要があります。
中国では、履歴事項全部証明書や印鑑証明書の代わりになる書類は公証処で作成してもらうことになりますが、特に印鑑証明書の作成については代表者が公証処に赴く必要があります。
ちなみに対外投資ということで、中国現地の規制により公証人によっては、対外投資目的の認証は行わないという事例を聞いたことがあります。この点は中国側での問題ということになりますが、日本の公証役場のようにはいかないケースもあるということは念頭に入れておいた方がよいかもしれません。
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司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている