Last Updated on 2025年1月2日 by 渋田貴正

株式会社の決算書承認

全ての会社は少なくとも1年に1度の決算期を迎えます。作成された決算書は税金の申告書作成のために利用されたり、融資を受けているなら金融機関に提出されたりします。

この決算書は、ただ作成するだけではなく、会社法上「決算書の承認」というプロセスが必要となります。

会社法
第436条

  1. (中略)
  2. (中略)
  3.  取締役会設置会社においては、前条第2項の計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書(第1項又は前項の規定の適用がある場合にあっては、第1項又は前項の監査を受けたもの)は、取締役会の承認を受けなければならない。

第438条

  1. 次の各号に掲げる株式会社においては、取締役は、当該各号に定める計算書類及び事業報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。
    一 436条第1項に規定する監査役設置会社(取締役会設置会社を除く。) 第436条第1項の監査を受けた計算書類及び事業報告
    二 会計監査人設置会社(取締役会設置会社を除く。) 第436条第2項の監査を受けた計算書類及び事業報告
    三 取締役会設置会社 第436条第3項の承認を受けた計算書類及び事業報告
    四 前三号に掲げるもの以外の株式会社 第435条第2項の計算書類及び事業報告
  2. 前項の規定により提出され、又は提供された計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならない

まとめると以下のようになります。(上場企業のように会計監査人の監査を受けている場合は株主総会の承認は不要です。)

取締役会 必要な承認
あり 取締役会の承認+株主総会の承認
なし 株主総会の承認

法人税の申告書や会計ソフトなどにも決算書の確定日を記入する欄がありますが、決算書の確定日とは上記の株主総会の承認があった日を記入します。

とはいえ、株主が1名だけの会社も数多くあります。このような会社ではもちろん定時株主総会を実際に開催することはないため、実務上は税理士とのやり取りで決算書の数字が固まり、決算書の数字を確定させた日をもって株主総会の承認日とするのが一般的です。

合同会社では決算書の承認プロセスは存在しない

合同会社では、決算書の承認手続きというものは株式会社と異なり、会社法上は定められていません。社員(業務執行社員がいれば業務執行社員)が決算書を作成し、内容を固めた時点で決算書が確定します。理屈的には所有と経営の分離がない合同会社においては、決算書の作成者と承認者が同じであるため承認というプロセスそのものが不要ということです。

ただし、定款で、たとえば「業務執行社員が決算書を作成して社員全員の承認を受けることで確定する」といったような定めを設けることは可能です。