地上権とは?

所有権や賃借権など何かモノを支配する権利を物権といいます。この物権の一つに地上権というものがあります。

民法 第265条
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。

地上権とはズバリこういう権利という定め方はされていませんが、他人の土地において工作物や竹林を所有するために土地を利用する権利が地上権です。工作物とは、建物に限らず建造物であればなんでも該当します。他人の土地上に何かを建設した場合などに成立する物権です。

土地を利用している人を地上権者、土地を利用されている人(土地の所有者)を地上権設定者といいます。

地上権と賃借権の違い

同じく他人の土地を利用するための権利としては賃借権があります。しかし両者にはいくつかの違いがあります。
地上権と賃借権の民法上の違いは以下の通りです。

地上権 賃借権
登記請求権 土地所有者に対して有する 賃貸人に対して有しない
存続期間の定めがない場合 上限なし 上限50年
抵当権の目的 できる できない
権利の譲渡 自由 賃貸人の承諾が必要
借地借家法によって、建物を目的とする地上権と賃借権の違いはなくなる

このように、地上権は賃借権に比べてかなり強力な権利です。一度成立すると、土地の持ち主は賃料を受け取ることはできるとはいえ、ほとんどその土地を利用できなくなってしまいます。そこで、建物所有を目的とする地上権については、借地借家法によって民法上の違いが修正されています。

借地借家法では、地上権も賃借権もひとくくりにして、
1)賃借権や地上権の登記がなくても建物について登記がされていれば、建物の所有者は賃借権や地上権を対抗できる
2)存続期間は30年以上(1回目の更新では20年以上、2回目の更新以降は10年以上)
3)土地の所有者が権利の譲渡を承諾しない場合は、裁判所が承諾の代わりに許可を与えられる
など民法の修正が行われています。上記の表の違いについても、建物を目的とする場合に限っていえば考える必要がない違いということになります。(実際の地上権のほとんどは建物を目的としていますが。)

地上権は土地の上にあるものが建物であれば借地借家法が適用されて、賃借権と一緒くたに「借地権」という名称で扱われます。結局、民法上の地上権が成立するのは建物以外の工作物、例えば駐車場やトンネルなどや山林だけとなります。そのため民法上の地上権について考える場面はほとんどないといってもよいでしょうし、地上権の登記が行われる場面も現実にはほとんどありません。

👉今すぐ無料相談