贈与といえば、無償でモノをやり取りすること、といったイメージがあります。一般的な贈与といえばまさにその通りなのですが、知らないうちに「贈与」として扱われることがあります。それがモノを低額で売り買いした場合です。

例えば本来は100万円するものを10万円で買ったとしたら、売主から90万円をもらったのと同じです。(実際に90万円もらうわけではないのですが、売主から90万円もらって、それと自分の10万円を合わせて100万円で売主から買い取ったというふうに考えます。)

このようなケースでは贈与が成立したと考えて、贈与税が発生する場合があります。

このようなケースを低額譲渡ということがあります。何をもって低額譲渡というかについては、譲渡者と譲受者がそれぞれ個人か法人かで4つのパターンが考えられます。

買い手↓ 売り手→ 個人 法人
個人 時価と実際の譲渡額の差額を贈与と考えて、得をした買い手側に贈与税を課税する
(譲渡をした側は譲渡損については所得税の損益通算上、損がなかったものとして扱われる。)
時価と実際の譲渡額の差額を贈与と考えて、得をした買い手側は一時所得として所得税が課税される
法人 時価の2分の1未満の対価による譲渡は時価による譲渡とみなす

例)100万円の価値があるものを40万円で譲渡した場合
売り手の個人側>実際には40万円しか受け取っていなくても、100万円で譲渡したものとして所得税を課税する

時価と実際の譲渡額の差額は売り手から買い手への寄付と考える

例)100万円の価値があるものを40万円で譲渡した場合
売り手の法人側>60万円は買い手側に寄付したものとして費用になる(ただし法人税法上は寄付金は全額損金になるわけではないので注意)
買い手の法人側>60万円は売り手から贈与してもらったものとして収益になる

このように、買い手と売り手が法人か個人かで4つの課税パターンが発生します。この中で個人の贈与税が関係するのは個人間の低額譲渡です。そもそも贈与税自体が個人間の贈与に対して課税される税金なので当然といえば当然です。

例えば親が子に対して1億円の価値のある土地を3,000万円で売却すると、7,000万円の贈与があったものとみなされて子に贈与税が課税されるということです。このようなケースはまさに贈与税の払い損です。

また法人から低額で何かを譲り受ければ一時所得として所得税が課税されますし、法人に対して何かを低額(時価の2分の1未満)で売却すれば時価で売ったものとみなされて余計な所得税を支払う羽目になります。

甘い話には裏があるという言葉もありますが、低額譲渡についてはまさに税金に関係する大きな罠(?)が待ち構えています。不特定多数への値引き販売であれば商取引上の戦略ということで片付く話ですが、特殊な関係にある者同士(例えば親族間や会社と社長間)の取引については、その取引額については細心の注意を払う必要があります。

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