Last Updated on 2025年1月3日 by 渋田貴正
今では海外の会社からのサービス(例えばアプリの利用料など)を受けることは珍しくなくなりました。その際に税務的に確認しておかなければならないのが、「電気通信利用役務」に該当するか、そして該当した場合にその内容が事業者向けなのか消費者向けなのかということです。
そのうえで電気通信利用役務に該当するのであれば、それが事業者向けか消費者向けかということを判断する必要があります。
事業者向け電気通信利用役務とは?
電気通信利用役務では、事業者向けか消費者向けかという区分が非常に重要です。なぜなら、消費者向けのサービスについては納税義務の転換、つまりリバースチャージの対象にならず、事業者向けのみリバースチャージの処理が必要になるためです。
とはいえ、会社が経費で計上するものをすべて「事業者向け」として扱うというわけではなく、事業者向けなのか消費者向けなのかという区分については以下のように定義されています。
消費税法 第2条 (中略) 8の4 事業者向け電気通信利用役務の提供 国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、当該電気通信利用役務の提供に係る役務の性質又は当該役務の提供に係る取引条件等から当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものをいう。 |
つまり、サービスの提供先が事業者に限られるものが「事業者向け」、一般消費者も利用できるのが「消費者向け」として定義されています。
実際に経理処理する際には、事業者向けか消費者向けかを判断するのはケースバイケースということになります。例えば、外国会社がオンラインで提供する技能試験(例えば、外国会社のアプリケーションを使いこなすためにその会社が設けている資格認定試験)について個人申し込みしたものを経費精算するのであれば消費者向け電気通信利用役務に該当しますし、会社として法人契約して申し込みする場合には事業者向け電子通信利用役務に該当します。
このように、同じサービスを受ける場合でも契約形態によって事業者向けか消費者向けか分かれる場合がありますし、そもそも業務用ソフトウェアの利用料や保守料であれば事業者向けに該当するといったように、個別の判断ということになります。
さらに事業者向けサービスに該当して、リバースチャージの対象になる場合でも、課税売上割合が95%以上の場合はリバースチャージの適用不要ということになっていますので、そのあたりも注意しておく必要があります。
いずれにしても、この辺りは消費税の判断が難しいところですので、顧問税理士とよく相談の上処理をしていくことをおすすめします。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている