Last Updated on 2025年1月2日 by 渋田貴正
海外在住の日本国籍の人が日本で会社設立や相続手続きをする場合には、必要書類をそろえるのにいくつかのパターンがあります。
日本で住民登録していないことを前提にすると日本で印鑑証明書を取得することはできないため、印鑑証明書に代わる書類をそろえることになります。この場合、主に2つのパターンが考えられます。
2)日本に帰国して、日本の公証役場で署名を認証してもらう
こちらの方が一般的な方法です。各大使館や総領事館に本人が出向いて、パスポートなどで身分確認後、その場で本人が署名して、その署名について証明してもらう方法です。
各大使館や総領事館で発行できる署名証明書には単独型と貼り付け型2つの種類があります。
単独型とは、決められた署名証明書の様式に署名をする方法です。
貼り付け型とは、自ら用意した書類に署名して、その書類に別途大使館や総領事館が作成した証明書を貼り付けることで証明とする方法です。
会社設立において署名する書類には、定款や就任承諾書、印鑑届書などがありますが、いずれの場合も「単独型」1枚で問題ありません。
単独型を発行する際には、提出先や目的を記載する欄があります。
この欄については特に登記申請には影響しませんが、
提出先=公証役場や法務局
目的=会社設立のため
と記載しておけば問題ありません。
日本の公証役場で署名を認証してもらう方法
これは一時帰国することが前提ですが、日本の公証役場で予約を取ってパスポートなどの身分証明書をもって、公証役場で署名を認証してもらう方法です。
この方法の場合、公証役場での予約が必要なほか、大使館や総領事館のような所定の様式がないため、必ず貼り付け型になります。この方法だと、署名が必要な書類1枚1枚の認証が必要なためコストがかかります。また、公証役場の予約が必要なため、スケジュール次第では公証役場に出向くことが難しい場合もあります。
そのため可能であれば、居住している国の大使館や総領事館での署名証明書を取得する方法をお勧めしています。
世界を飛び回って、居住している国の大使館や総領事館に行くのが難しいといった場合には、日本の公証役場での署名の認証を利用する方法も検討するといった形がよいでしょう。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている