Last Updated on 2025年1月3日 by 渋田貴正
「及び」と「並びに」の違いや使い分け
会社の事業目的でよく出てくる言葉が「及び」と「並びに」です。どちらも2つの言葉を並列するときに使います。例えば「製造及び販売」や「指導並びにコンサルティング」といった感じです。
しかしこの両者の意味としては全く同じですが、定款や契約書その他の法律関係の文章を作成する上では明確に使い分けが行われています。それは、最小の接続に「及び」を使用して、それ以外の接続には「並びに」を用いるということです。図にすると以下のようになります。
例えば、自ら商品の製造や販売を行いつつ、そうしたノウハウのコンサルティングを提供したいというような場合には以下のようになります。
「商品の製造及び販売並びに他社への商品製造や販売に関するコンサルティング」
ただ上記のように「並びに」を使用すると事業目的が長ったらしくなってしまうので、「並びに」を使用せずに2つの項に分割するのもよいでしょう。
「及び」が第一段階の並列で、そのうえでさらに大きな並列がある場合に「並びに」を使用します。つまり、「及び」が出てこなくて、「並びに」だけが出てくる事業目的はないということです。
もちろんこれは慣習的なものであり法律でこのようにすると定められているわけではないので、上記のような使い分けをしていないから無効ということにはなりません。ただし、「及び」と「並びに」にはこのような使い分けがあるのだということを知っておけば事業目的の例などを見たときに意味をとらえやすくなるでしょう。
ちなみに法律の場面では「及び」も「並びに」も漢字で表記します。「および」や「ならびに」とは表記しませんので注意しましょう。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている