ポルトガル国籍の被相続人の相続放棄の可能性

ポルトガル国籍の被相続人の相続放棄について、日本で可能なのかということについて確認します。

家事事件手続法

第3条の11 裁判所は、相続に関する審判事件(中略)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。

上記の通り、日本に最後の住所があった場合には、ポルトガル国籍の日本の家庭裁判所が管轄権を有します。

しかし、もう一点そもそもポルトガルの法律で相続放棄という制度があるかどうかという問題があります。いくら日本の家庭裁判所が管轄権を有していても、そもそも本国の法律で相続放棄が定められていなければ相続放棄をすることはできません。

その点ポルトガルの民法では、相続放棄についての規定があり、日本と同じように相続放棄によって相続人は相続開始時にさかのぼって相続人ではなくなる旨が規定されています。

またポルトガルの法律はもともとドイツの流れを汲んでおり、同様にドイツ民法の流れをくむ日本のように相続人の協議で分割方法を決める包括承継主義を採用しているため、管理清算主義のように債務を引いた資産だけを引き継ぐというわけではありません。このため、もし日本で債務を残したまま亡くなったポルトガル国籍の人がいれば、相続放棄をするメリットがあります。

ただし、日本でポルトガル国籍の人が相続放棄をするにはポルトガルの法律についての説明なども必要であり、非常に複雑な手続きとなります。

外国籍の被相続人の相続放棄については、当事務所のように国際相続に詳しい専門家に依頼することをおすすめします。

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