相続放棄が完了した後の債権者への通知

相続放棄が完了すると、相続人は相続開始時にさかのぼって相続人ではなかったことになります。

民法 第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす

そのため、家庭裁判所で相続放棄の申立が受理(承認のようなものです。)されれば最初から相続人ではなかったことになるため、遺産分割協議に参加する必要もありませんし、被相続人が債務を持っていても引き継ぐ必要もありません。

相続放棄が家庭裁判所で受理されたあとは相続人あてに「相続放棄申述受理通知書」という書類が送られてきます。この書類は相続人だけに送付されるため、被相続人にお金を貸していた債権者などは相続放棄されているかどうかについて知ることはできません。そのため、相続人としては債権者に相続放棄が完了したことを通知してあげたほうが親切です。というより、そうしないと債権者も相続放棄した相続人には請求できないことを確認できませんし、相続人自身のためにも通知したほうがよいでしょう。

債権者に発送する通知書のモデル

債権者への通知については、特にルールがあるわけではないのですが、「相続放棄申述受理通知書」のコピーを送付すればよいでしょう。「相続放棄申述受理通知書」のほかに、「相続放棄申述受理証明書」という書類もありますが、「相続放棄申述受理証明書」は家庭裁判所に別途請求が必要ですし、被相続人の債権者などの利害関係者でも取得することができます。

そのため、債権者には「相続放棄申述受理通知書」のコピーを送付しておいて、あとは債権者に必要に応じて「相続放棄申述受理証明書」を取ってもらえばよいでしょう。

また、債権者に送付するための相続放棄通知書の文例も書いておきます。相続放棄通知書は送付状のようなものなのでなくてもよいとは思いますが、つけておいた方が親切かもしれません。

相続放棄通知書

2024年4月1日

株式会社○○

債権管理課 ○○ 様

私は、○○(以下、「故人」といいます。)の相続人△△と申します。故人は2024年1月31日に死亡しました。私は、相続に関して家庭裁判所へ相続放棄の申述を行い、その放棄が認められました。事件番号は下記の通りです。

東京家庭裁判所 令和6年(家)第111111号

 

ここに、故人からの相続に関わる一切の権利と義務を放棄したことを通知いたします。この相続放棄により、私は故人の債権および債務に関して一切の責任を負わないことになります。

 

添付文書には、家庭裁判所による相続放棄申述受理通知書のコピーを同封いたします。これにより、私が故人の財産に対して一切の権利を有しないこと、また故人の債務に対しても一切の責任を負わないことを証明いたします。

神奈川県横浜市○○

△△(故人の配偶者)

 

添付:家庭裁判所による相続放棄申述受理通知書のコピー

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