Last Updated on 2025年1月3日 by 渋田貴正
一般社団法人の非営利と公益の違いとは?
一般社団法人には2つの言葉的に似た概念があります。それが「非営利」と「公益」です。
いずれも「儲けのためにやっているのではない」というニュアンスが伝わってくる言葉ですが、この2種類については明確な違いがあります。
一般社団法人の「非営利」と「公益」の違いを表にまとめました。
特徴 | 非営利型一般社団法人 | 公益社団法人 |
---|---|---|
目的 | 非営利性があれば個人や特定の集団の利益のための存在でもよい | 社会一般の利益に寄与するための存在でなければならない |
利益の分配 | 利益を個人や株主に分配しない | 利益を個人や株主に分配しない |
税制優遇 | 一定の税制優遇が可能 | より広範な税制優遇措置を受ける可能性 |
規制 | 税制上の規制を満たすかどうか | 国や都道府県による法的な規制と監督下で運営 |
透明性 | 活動の報告義務などはない | 高い透明性と公正性が求められる |
活動範囲 | 文化、教育、スポーツなど幅広い | 一般社会全体への利益に通じることが必要 |
あくまでこの違いは実体的なもので手続き的な違いは別のところで説明できればと思います。
簡単にまとめると、非営利型とは税制の優遇を受けるために一定の要件を満たすように設立された一般社団法人をいい、公益社団法人とはその名の通り公共の利益、社会全体の利益のために設立された法人をいいます。
公益認定を受けるには手続き面でも第三者委員会による審査や、国や都道府県による認定が必要であり、公益の目的を満たすという実体面も相まって、設立することは非常にハードルが高いといえます。
一方の非営利型は税務上の概念なので要件を満たせば「非営利」に該当するということで、認定などの特別な手続きは必要ありません。
言葉のイメージは「利益のためにやっているのではない」似ていますが、両者は全く違う概念であり、混同しないように気を付けておきましょう。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている