Last Updated on 2024年4月26日 by 渋田貴正
アメリカでは州によって法律が異なる連邦制なので、国際相続では州ごとの法律を確認する必要があります。
アメリカでは50の州がありますので、そのそれぞれにおいて相続法を確認する必要があります。このように数ある州の中でもフロリダ州の法律が適用される場合に日本で遺言が作成できるのかということについて説明ます。
結論から言えばフロリダ州の法律が適用される人でも日本で遺言をすることができます。
そもそも外国籍の人が日本国内で遺言を作成するには3つのクリアするポイントがあります。
1)本国の法律で遺言の制度があるかどうか
2)遺言の方式について日本の民法を適用できるかどうか
3)不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうか
フロリダ州の法律で遺言の制度があるか
まず、遺言については以下のように定められています。
法の適用に関する通則法
第37条 遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。
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つまり、被相続人について適用される法律(本国法)で遺言の定めがあるかどうかということが必要です。本国の法律に遺言の定めがなければ遺言を残すことはできません。
そして、フロリダ州では、遺言の制度がありますので、遺言自体は残すことができます。
遺言の方式について日本の民法を適用できるかどうか
そのうえで、遺言の方式については、以下のように定められています。
遺言の方式の準拠法に関する法律
第2条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。 |
「行為地法」とは、とある法律行為をする地の法律のことです。公正証書遺言であれば、遺言という法律行為を行うのは日本国内の公証役場なので行為地法は日本です。
そのため、公正証書遺言については必ず行為地は日本になります。また、不動産に関する遺言についても不動産の所在地が日本国内にあれば海外で残した遺言であっても日本の民法の方式で残すことが可能です。
不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうか
不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうかも重要な要素です。
その点について、フロリダ州法(Florida Statutes)では、以下の場合に他国の法律で作成された遺言でも有効(valid)と定めています。
- その遺言が作成された時点で、遺言者の居住地の法律に従っている。
- 遺言が作成された場所の法律に従っている。
- 遺言者の国籍の国の法律に従っている。
フロリダ州では特に不動産と動産を分けて規定していませんが、いずれにおいても、その遺言が残された国の法律に従って作成されたものであれば有効な遺言として扱われます。
もし日本の公証役場などで遺言を残す場合には、フロリダ州法により日本の遺言作成が認められていることを証明するなど、日本国籍の人が遺言を残す場合に比べて、いくつかのプロセスが必要です。
フロリダ州の方で日本で遺言を遺したいという場合はお気軽に当事務所までご相談ください!
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。合わせて、複数の資格を活かして会社設立や税理士サービスなどで多方面からクライアント様に寄り添うサポートを行っている。