Last Updated on 2025年1月3日 by 渋田貴正
合同会社の現物出資と定款への記載
資産管理会社など外部の出資を予定していないプライベート会社においては合同会社の形式が広く活用されています。
合同会社が資産管理会社として設立される背景には、株式会社に比べて設立が簡単であるといったことや設立費用が安いといったことも挙げられますが、なんといっても個人から法人への資産の移転が容易であるという点が挙げられます。
どういうことかといえば、合同会社では株式会社で求められるような現物出資時の検査役などの調査が一切不要であるという点が挙げられます。
合同会社は制度的にクローズドな会社なので、現物出資の価額についてもその金額で行うということで総社員が同意したのであれば、さらに第三者機関によってその金額が妥当かどうかの調査までは求められていないということです。そのため、どれだけ高額な現物出資であっても、社員全員の同意だけで行うことができます。(もちろん社員全員の同意によって認められた価額であったとしても、それが低額譲渡に該当するのであれば、所得税の問題は発生します。会社法上のプロセスが適正かどうかと税金は別問題です。)
ここで一点注意しておかなければならないのは、定款への記載です。合同会社の定款の記載事項は以下の通りです。
会社法
第576条 一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 社員の氏名又は名称及び住所
五 社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
六 社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)及びその価額又は評価の標準
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「金銭等」とは金銭との他の財産をいいます。合名会社の無限責任社員は「労務」など金銭価値がないものを出資の目的にできますが、有限責任社員は金銭や不動産その他お金に換算できる価値があるものだけを出資の目的にできるということです。
このように現物出資を行った社員については「出資の目的」つまり何を出資したのかということを定款に常に明記しておく必要があります。
株式会社であれば、設立時の定款(原始定款)には現物出資の目的や化学を記載する必要がありますが、設立後の募集株式発行の際は定款への記載は不要であり、募集事項の決定の際に決議すればよいことになっています。
しかし、合同会社の場合は「設立時の」定款という縛りがないため、常に現物出資の目的について定款に記載しておく必要があります。この点は株式会社と異なる点です。
当事務所では、現物出資を伴う合同会社の設立や設立後の現物出資、現物出資による不動産の登記名義の変更、現物出資に伴う所得税シミュレーションなどを行っております。
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司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている