国際贈与や国際相続での財産の所在場所の判定基準
贈与や相続で、受贈者や贈与者が海外在住だったり、被相続人や相続人が海外在住だったりする場合に重要になるのが、その財産が国内に存在しているか海外に存在しているかということです。
国際相続では、どの国の法律が適用されるのかということが重要ですが、こと税金については住所がある国でその財産を形成したと考えますので、住所の有無や、その住所を有していた期間が重要になります。
それでは、もし国内財産のみが課税対象となる場合、国内財産とはどのような範囲を言うのでしょうか?
具体的には、以下の財産が国内財産に該当すると相続税法で定められています。なお、判定は財産を贈与や相続した時点で判定します。
財産の種類 | 国内財産に該当するかどうかの判定基準 |
---|---|
動産若しくは不動産又は不動産の上に存する権利 | その動産又は不動産の所在。ただし、船舶又は航空機については、船籍又は航空機の登録をした機関の所在 |
鉱業権若しくは租鉱権又は採石権 | 鉱区又は採石場の所在 |
漁業権又は入漁権 | 漁場に最も近い沿岸の属する市町村又はこれに相当する行政区画 |
金融機関に対する預金、貯金、積金又は寄託金 | その預金、貯金、積金又は寄託金の受入れをした営業所又は事業所の所在 |
保険金 | 保険会社等の本店又は主たる事務所の所在。ただし、本店又は主たる事務所が法律の施行地にない場合は、契約に係る事務を行う営業所、事務所の所在 |
退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与 | 当該給与を支払った者の住所又は本店若しくは主たる事務所の所在 |
貸付金債権 | 債務者の住所又は本店若しくは主たる事務所の所在 |
社債若しくは株式、法人に対する出資又は有価証券 | 発行法人の本店又は主たる事務所の所在 |
集団投資信託又は法人課税信託に関する権利 | これらの信託の引受けをした営業所、事務所の所在 |
特許権、実用新案権、意匠権、商標権等 | その登録をした機関の所在 |
著作権、出版権又は著作隣接権 | これを発行する営業所又は事業所の所在 |
贈与又は遺贈により取得したとみなされる金銭 | そのみなされる基因となった財産の種類に応じ、上記で規定する場所 |
営業所又は事業所を有する者の営業上又は事業上の権利 | 当該営業所又は事業所の所在 |
国債又は地方債 | この法律の施行地にあるものとする。 |
外国又は外国の地方公共団体その他これに準ずるものの発行する公債 | 当該外国にあるものとする。 |
上記以外の財産 | 財産の権利者であった被相続人又は贈与をした者の住所の所在による。 |
色々と書かれていますが、最も多いケースは不動産や預金でしょう。不動産は「その動産又は不動産の所在」となっています。不動産であれば日本国土にあれば国内財産に該当します。
預金であれば受入れをした営業所又は事業所が日本国内にあれば国内財産に該当するということになります。
国内財産に該当すれば受贈者や贈与者の住所や居住年数に関わらずほとんどのケースで贈与税がかかってきますし、相続であれば相続税がかかってきます。そのため、国際贈与や国際相続での税金関係では国内財産に該当するかどうかが非常に重要になってきます。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている