Last Updated on 2025年1月3日 by 渋田貴正
事業所得と不動産所得の両方ある場合の青色申告特別控除
青色申告特別控除は事業所得と不動産所得、山林所得に対して適用されます。ただ、山林所得についてはレアケースなので、多くの人にとって青色申告特別控除といえば事業所得と山林所得ということになります。
そして、中には個人事業主として事業所得を有しながら不動産オーナーとして不動産所得も有しているという人もいます。
このようなケースで青色申告特別控除はどのように適用されるのでしょうか?
まず青色申告特別控除については、青色申告を行う個人単位で適用することになっていて、不動産所得、事業所得の順に控除していくということが定められています。(租税特別措置法第25条の2)
適用は個人単位であり、所得単位ではないので個人で事業所得と不動産所得を申告していたとしても受けられる青色申告特別控除は最大で65万円です。(所得ごとに適用して最大130万円の青色申告特別控除の適用が受けられるというわけではありません。)
また、青色申告特別控除については以下のように限度額が設けられています。(複式簿記により記帳している場合で電子申告している場合)
事業所得 | 65万円 | |
不動産所得 | 事業的規模 | 65万円 |
事業的規模以外 | 10万円 |
上記のように不動産所得については、事業的規模かそうでないかで青色申告特別控除の適用額が変わります。
ここで、事業所得と不動産所得の両方がある人については以下の2パターンが考えられます。
パターン1 事業所得+事業的規模の不動産所得
パターン2 事業所得+事業的規模以外の不動産所得
上記のパターンによって青色申告特別控除の適用額に変わりはあるのかということですが、結論から言えばどちらのパターンでも最大で65万円の適用を受けられます。
65万円の青色申告特別控除の適用を受けられる人は、「青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている個人で不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営むもの」となっています。事業所得または事業的規模の不動産所得があれば65万円の適用が受けられるということです。
混乱しやすいのが、青色申告特別控除の適用順序です。不動産所得、事業所得の順に適用するとなっているので、もし不動産所得が事業的規模でない場合、それにつられて青色申告特別控除の額も10万円の控除になる気がしますが、これはあくまで適用の順番の話です。適用を受けられる額自体は、事業所得または事業的規模の不動産所得のどちらかを有するということで決まります。
事業所得か不動産所得のいずれかのみの場合はそれほどややこしくありませんが、2つの所得を有する人は確定申告で注意しておく必要があります。
司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士
2012年の開業以来、国際的な相続や小規模(資産総額1億円以下)の相続を中心に、相続を登記から税、法律に至る多方面でサポートしている。少しでも相続人様の疑問や不安を解消すべく、複数資格を活かして相続人様に寄り添う相続を心がけている