遺産分割協議書作成後に印鑑証明書の提供を拒絶する相続人がいるときの対応

遺産分割協議が終了し、遺産分割協議書への全員の押印が完了したにもかかわらず、その後相続登記や口座解約のために各相続人に印鑑証明書の提供を求めたところ、特定の相続人が印鑑証明書の提供に協力してくれなくなったというケースがあります。

このような場合、遺産分割協議自体は成立しているので有効です。印鑑証明書は登記や口座解約にあたって、その遺産分割協議が相続人の意思に基づいて行われたということを担保し安全性を確保するために求められているものです。もちろん共同相続人全員の合意によって遺産分割協議をやり直すことは可能ですが、いったん成立した遺産分割協議を一部の相続人の意思だけでひっくり返すということはできません。

ただ、遺産分割協議が有効に成立しているからと言っても、印鑑証明書がなければ相続登記や口座解約の手続きが進みません。本人に言っても印鑑証明書が提供してもらえないのであれば、やはり裁判で判決を得て本人の印鑑証明書の代わりにするということが必要になってきます。

民事訴訟法
(証書真否確認の訴え)
第134条の2 確認の訴えは、法律関係を証する書面の成立の真否を確定するためにも提起することができる。

この場合は、上記のように遺産分割協議書が相続人全員の意思に基づいて成立したことを確定するために、遺産分割協議書の真否確認の訴えを提起することになります。この訴えで勝訴の確定判決を得れば、確定証明書が付いた証書判決の判決書謄本を印鑑証明書の提供を拒む相続人の印鑑証明書に代えることができます。

印鑑証明書がもらえない場合、提訴するのは遺産分割協議書の真否確認

なお注意しておかなければならないのは、あくまで提起するのは真否確認の訴えです。印鑑証明書なしで相続登記の申請ができるといった趣旨の訴えで証書したとしても、そもそも相続登記が単独申請であり、他の相続人に登記義務者として相続登記を命じることはあり得ません。あくまで相続登記の前提としての遺産分割協議書そのものが真であるということを訴訟で確認することになります。

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