遺言執行者とは?

遺言の内容に従って、相続手続きを進めていく役割を持つ人を遺言執行者といいます。遺言執行者は必ず指定しなければならないわけではなく、遺言執行者を指定しなければ、遺言で財産を取得した相続人が各種の相続手続きを進めていくことになります。

遺言執行者を選任する目的としては、信頼できる者を遺言執行者に指定することで遺言の内容が確実に実行されることを期待して選任するほか、第三者への遺贈では、遺言執行者を指定することでその他相続人を関与させることなく、遺贈による所有権の移転登記が可能になるといったことから、遺言執行者の選任が行われることがあります。

遺言執行者になれる人は、相続人の一人でもよいですし、相続人とは全く別の第三者(法律の専門家ではない知人など)でも問題ありません。また、弁護士法人や司法書士法人などの法人を指定することもできます。ただし、未成年者と破産者は遺言執行者になれません。

遺言執行者は複数人を指定することもできる

遺言執行者は多くのケースでは1名ですが、特に第三者を指定した場合などには遺言の効力発生(つまり相続発生)よりも遺言執行者のほうが亡くなってしまったり、法人であれば解散清算してしまったりといったケースも考えられます。

そのため遺言執行者については複数名を指定することもできます。

民法 第1006条
  1. 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。

遺言者を複数名指定した場合は、それぞれが単独で遺言失効することもできます。また、遺言執行者Aは金融資産関係の執行、Bは不動産関係の執行というように遺言執行者ごとに遺言執行の範囲に権限を持たせることもできます。

複数名を指定しておけば、一方の遺言執行者が亡くなっても、もう一方の遺言執行者が遺言を執行することができます。(権限を限っている場合はその権限内のみになりますが。)

予備的に遺言執行者の指定することも可能

遺言執行者Aが亡くなった場合には遺言執行者としてBを指定するというように、特定の条件の元で予備的に遺言執行者を指定することも可能です。ただし、予備的遺言執行者も、遺言の中で指定しておく必要があります。

遺言執行者の指定自体を第三者に委託する場合

遺言に記載することで、遺言執行者を遺言内では指定せずに第三者に遺言執行者を委託することもできます。実際には遺言執行者には復任権、つまり遺言執行者が第三者に遺言執行の業務を委託できるので、遺言執行者の指定を第三者に委託するというケースは、遺言作成時に遺言執行者を決めかねていて、別の信頼できる第三者に遺言執行者を決めてほしいといったケースです。

この場合は、遺言執行者の代わりに、遺言執行者を指定できる者の住所や氏名を遺言内に明記することになります。

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