遺言執行者の就任ができない場合とは

遺言執行者は遺言で定める者で、遺言の内容を実現するために動く者のことです。例えば遺言の内容に沿った相続や遺贈の登記、相続預金の解約や分配を行います。

遺言執行者は遺言の中でしか定めることができず、遺言の外で独自に契約したり指定したりすることはできません。

この遺言執行者について、場合によっては遺言の執行ができないケースが発生します。例えば以下のようなケースです。

個人の遺言執行者 相続開始前に死亡していた場合

相続開始後に連絡が取れなくなってしまった場合

欠格事由(破産者など)に該当した場合

解任された場合

法人の遺言執行者 解散・清算して遺言執行ができなくなってしまった場合

欠格事由(破産者など)に該当した場合

解任された場合

遺言執行者の就任ができない場合の対応方法

上記のようなケースでは遺言執行者が業務を遂行することはできません。そのため、遺言者またはその相続人は以下のような対応を取ることになります。

1)遺言で指定された相続人、受遺者が自ら各手続きを行う

遺言執行者が選任されている場合でも、相続人が行う相続登記についてはもともと相続人が申請人になる関係で、相続人が直接遺言の内容を実現する相続登記を行うことができます。(相続人ではない受遺者については遺言執行者からの申請が必要です。)

また、口座解約についても金融機関に確認の上、相続人が直接遺言の内容を実現するように解約手続きを取ることが可能な場合があります。

2)遺言で別の遺言執行者を指定する(被相続人の生前に遺言執行者の就任不可が分かっていた場合)

遺言で書いた内容は遺言の形で変更できます。この場合、公正証書遺言を自筆証書遺言で上書きすることも可能です。いずれにしても、一度遺言で指定した遺言執行者を変更するには、新たにその部分だけを変更したい旨の遺言を残すことで変更が可能です。

3)家庭裁判所に新たな遺言執行者の選任を請求する

遺言執行者が遺言で指定されていない場合や、上記の事由に該当したことで就任が不可になったようなケースについては家庭裁判所に請求して新たな遺言執行者を選任してもらうことが可能です。

第1010条

遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。

家庭裁判所への遺言執行者の選任請求は、相続人や受遺者が任意の遺言執行者を指定して請求することができます。遺言で指定されている遺言執行者が健在で就任可能であれば家庭裁判所への請求を行うことはできません。また、遺言で別の遺言執行者が記載されている場合、その者が就任不可であることを家庭裁判所に示す必要もあります。

指定された遺言執行者の就任ができなくなった場合や遺言執行者が選任されていない場合、当事務所で遺言執行者に就任するサービスも行っております。また、家庭裁判所への遺言執行者の選任請求の書類作成代理も承っております。お気軽にご相談ください。

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