フランス国籍の人でも日本で遺言を遺せるのかということについて、よく当事務所にも問い合わせがあります。

結論から言えばフランス国籍の人でも日本で遺言をすることができます。

そもそも外国籍の人が日本国内で遺言を作成するには3つのクリアするポイントがあります。

1)本国の法律で遺言の制度があるかどうか

2)遺言の方式について日本の民法を適用できるかどうか

3)不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうか

フランスの法律で遺言の制度があるか

まず、遺言については以下のように定められています。

法の適用に関する通則法
第37条 遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。

そして、フランスでは、遺言の制度がありますので、遺言自体は残すことができます。

遺言の方式について日本の民法を適用できるかどうか

そのうえで、遺言の方式については、以下のように定められています。

遺言の方式の準拠法に関する法律

第2条 遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
三 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法
四 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法
五 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

「行為地法」とは、とある法律行為をする地の法律のことです。公正証書遺言であれば、遺言という法律行為を行うのは日本国内の公証役場なので行為地法は日本です。

そのため、公正証書遺言については必ず行為地は日本になります。また、不動産に関する遺言についても不動産の所在地が日本国内にあれば海外で残した遺言であっても日本の民法の方式で残すことが可能です。

不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうか

不動産や動産の相続について日本の法律を適用できるかどうかも重要な要素です。

その点について、フランスではもともとは相続分割主義、つまり不動産は所在地、動産は住所地(または常居所地)の法律が適用されるとなっていましたが、EU相続規則の施行によって現在では相続統一主義が採用されています。EU相続規則では、不動産・動産問わず被相続人の最後の常居所地の法律が適用されることになっています。

つまり、最後の住所地が日本であれば日本の法律に従って相続手続きが取れるということになります。この場合、日本で遺言を作成することはできますが、もしフランスに帰国したり別の国に移住したりして、最後は日本以外の国で亡くなったということになると日本で残した遺言書は使用できなくなる可能性はあります。ただ、フランスに遺言制度があるため、日本で遺言を残すこと自体は可能です。

当事務所では、遺言書の作成から、遺言執行者の就任まで、外国籍の方が安心して遺言書を残せるようにサポートしております。

フランス国籍の方で日本で遺言を遺したいという場合はお気軽に当事務所までご相談ください!

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